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Archive for 2011年10月

 レモン・メレンゲ・パイ(ベースの生地には全粒粉、レモン・カードとメレンゲにはブラウン・シュガーが使われています。)
レモン・メレンゲ・パイは、イギリスの伝統的なデザートの一つとして確固たる地位を占め、大変親しまれています。
歴史的には、現存する最古のレシピは17世紀のフランス語圏のスイスだそうで、現在知られている形としてのレモン・メレンゲ・パイは19世紀頃に確立したそうですが、今日ではイギリスだけでなく、アメリカ、フランスなどでもとても人気があり、レシピのバリエーションも様々です。
ここで紹介しているレシピは、リネットさんが学校の家庭科の時間に習ったレシピに従ったもので、(なんとリネットさん直筆のノートブックが残っています。)リネットさんは当時は、相当洗練された一品だと感じ、学校の友達を家に招待する際によく作ったそうです。
習った当時は白砂糖と、白い小麦粉を使ったそうですが、今はリネットさんは、できるだけ体に悪影響の少ない、ブラウン・シュガーと全粒粉を使っています。
そのため、一般のレモン・メレンゲ・パイに比べると、少々濃い目の色に仕上がっています。(もちろん、下記のレシピを白砂糖と白い薄力粉で作れます。)
まろやかでかつ酸味のきいたレモンカードと、甘いメレンゲのふんわりした食感は、さくさくしたパイ生地(イギリスではショート・クラスト・ペイストリー Short crust pastry)にとてもよく合います。
また、レモン・カードは作ってみると意外と簡単に出来て、パンに塗ったりしてもおいしいので、別の機会にレモンカードだけ作ることもできます。
材料
 <パイ生地>
・全粒粉 225g
・バター 125g
・冷水 大さじ3程度
<レモンカード>
・バター 125g
・ブラウン・シュガー(または普通の白砂糖) 125g
・レモン汁 2個分
・卵の黄身 2個分
<メレンゲ>
・ブラウン・シュガー (または普通の白砂糖)125g
・卵の白身 2個分
 *オプションとして
・コーン・フラワー 小さじ1
(コーン・フラワーを使うと、メレンゲの分離を防げます。しかし砂糖をスプン1杯ずつ根気よく加えれば、コーンフラワーがなくてもメレンゲは分離しません。)
作り方
 <タルト生地>
*生地をできるだけ手早く扱うことと、焼く前に冷蔵庫に入れて生地を冷ますこと。この2つが成功の秘訣です。また、タルト生地は粉とバターの割合がほぼ2:1なので、水の量加減を注意しながら、作る量を調節することができます。
1 直径20㎝くらいの型の内側にバターを薄く塗る。
2 ボールに粉とバターをいれ指先でバターを粉にまぶす。(全体に空気が入るようにまぶして、生地を軽く保つようにする。)
3 大さじ2~3の冷水を入れ、バターナイフで切るように生地を混ぜる。(生地は絶対に水っぽくならないように水加減に気をつけ、手早くさっと混ぜるのがコツです。パンの生地をこねるのとは正反対です。混ぜすぎると粉からグルテンが出て、生地が重く固くなってしまいます。)
4 型全体に生地が均一になるようにタルト生地をゆっくりと型に指で広げていく。(全粒粉を使うときは、のし棒で伸ばすよりも手で伸ばしたほうが軽く仕上がります。生地は厚すぎないように、しかし薄すぎると破れてしまうので注意します。)
5 フォークを使って生地にいくつかの穴を開ける。(蒸気が抜ける穴です。表面を平らにするために、ベーキング用の豆を敷き詰めて焼く方法もありますが、穴を開けるだけで十分OKです。)

6 5を冷蔵庫に20~30分間くらい入れ、型のまま生地を冷ます。

7 オーブンを180度に温める。

8 型のまま冷ました生地をオーブンに入れ、15~20分間、薄い茶色になるまで焼く。(何も入れていないタルト生地だけを焼くことを ブラインド・ベイク Blind Bake と言います。)

9 メレンゲ用にオーブンを120℃に設定する。

<レモン・カード>

10 タルト生地を冷蔵庫で冷ましている間に、砂糖とバターを湯せん(なべにお湯を入れ、耐熱ガラスのボールの底がお湯につかないように載せる)でゆっくり溶かす。

11 そこにレモン汁をいれ、混ざったら溶いた卵の黄身を入れ、さらに湯せんでゆっくり混ぜ合わせる。(沸騰しないように気をつけ、絶えずゆっくりかき回してください。だいたい20分~30分くらいでとろりと固まってきます。)

12 レモンカードを火からおろし、あら熱をとる。

<メレンゲ>

*メレンゲは卵の白身に少しでも黄身や油分が混ざっていたら、絶対にあわ立ちません。あわ立てる前に、白身をチェックして、きれいなボールを使ってください。

13 卵の白身を、最初は砂糖を入れずにあわ立てはじめ、全体がトロリとしてきたら、砂糖をスプン1杯ずつこまめに分けて入れ、(コーン・フラワーを入れる場合はこの段階で入れます。)全体につやがでるまで、さらにあわ立てる。(ハンドミキサーを使った方キメがこまかくしっかり泡出ちます。)

*しっかりあわ立ったと思ったら、ボウルを上下にひっくり返してメレンゲの状態を確かめることができます。メレンゲがボウルにくっついて、落ちてこなかったら、ちゃんとあわ立った証拠です。ちょっとこわいかもしれませんが、きれいなお皿の上などでやってみることができます。

14 レモンカードがまだ温かいうちに、パイ生地にレモン・カードを均一にしきつめ、その上にメレンゲを注意しながら載せる。(メレンゲは、周りからのせていったほうが、レモンカードの真ん中がへこみません。レモンカードとメレンゲの間に隙間ができないように、またメレンゲがペイストリーに接着するようにすると、きれいに仕上がります)

15 120℃のオーブンで約1時間、メレンゲの表面がこんがりするまで焼く。

16 パイをオーブンから取り出し、冷ます。

 レモン・カード(白砂糖を使ってあるので鮮やかな黄色になっています。) 

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ベイクウェル・タルトは伝統的なイギリスのケーキの一つです。その発祥の地は、ダービシャー州(Derbyshire)のベイクウェル(Bakewell)という町の、とある厨房だとされており、1820年にさかのぼるそうです。このケーキの名称はまさにその町の名にちなんでつけられています。ケーキ職人がジャムタルトを作ろうとしたところ、間違って作ったのがこのケーキだと言われていますが、実際はそうではないという説も有力です。

このケーキは人気があり、市販のものもいくつか出ており、アイシングでコーティングされたもの、アーモンド・プードルを使わずに、小麦粉で代用して(原価を下げ)、アーモンド・エッセンスを加えたもの、チェリージャムを使っているものなどとバリエーションが色々あります。しかし基本は、タルト生地(イギリスではショートクラスト・ペイストリーshortcrust pastry)にラズベリージャムを塗り、アーモンドプードルで作ったスポンジを入れて焼いたものです。

ここで紹介しているレシピでは、タルト生地に全粒粉、スポンジにブラウン・シュガーが使われているので、これらがアーモンドの風味とあいまって、シンプルかつ、とても自然な味に仕上がっています。リネットさんは、子供たちが小さいころにこのケーキをよく焼いたそうで、おなかが空いているときのおやつに最高だと推薦しています。

材料
 <タルト生地>
 ・全粒粉 170g
 ・バター 85g
 ・冷水 大さじ1と1/2
<フィリング>
 ・ラズベリージャム 大さじ3~4
 ・バター(常温で柔らかくしたもの)125g
 ・ソフト・ブラウン・シュガー 125g
 ・アーモンド・プードル 100g
 ・卵 2個
作り方
 <タルト生地>
*生地をできるだけ手早く扱うことと、焼く前に冷蔵庫に入れて生地を冷ますこと。この2つが成功の秘訣です。また、タルト生地は粉とバターの割合がほぼ2:1なので、水の量加減を注意しながら、作る量を調節することができます。
1 直径20㎝くらいの型の内側にバターを薄く塗る。
2 ボールに粉とバターをいれ指先でバターを粉にまぶす。(全体に空気が入るようにまぶして、生地を軽く保つようにする。)

3 大さじ1 と1/2 の冷水を入れ、バターナイフで切るように生地を混ぜる。(生地は絶対に水っぽくならないように水加減に気をつけ、手早くさっと混ぜるのがコツです。パンの生地をこねるのとは正反対です。混ぜすぎると粉からグルテンが出て、生地が重く固くなってしまいます。)

4 タルト生地をゆっくりと型に指で広げていく。(全粒粉を使うときは、のし棒で伸ばすよりも手で伸ばしたほうが軽く仕上がります。)型全体に生地が均一になることを確かめる。(厚すぎないように、しかし薄すぎると破れてしまうので気をつけます。)

5 フォークを使って生地にいくつかの穴を開ける。(蒸気が抜ける穴です。また、表面を平らにするためにベーキング用の豆を敷き詰めて焼く方法もありますが、穴を開けるだけで十分OKです。)

6 5を冷蔵庫に20~30分間くらい入れ、型のまま生地を冷ます。

7 オーブンを180度に温める。

8 型のまま冷ました生地をオーブンに入れ、15~20分間、薄い茶色になるまで焼く。(何も入れていないタルト生地だけを焼くことを ブラインド・ベイク Blind Bake と言います。)

<フィリング>

9 タルト生地をオーブンから出し、表面にラズベリージャムを均一に塗る。

10 ボールにバターと砂糖を入れ、よく混ぜ合わせ、卵も入れてさらに混ぜ合わせる。
11 そこにアーモンド・プードルも入れ、さっくりと混ぜ合わせる。
12 11をジャムを塗ったタルト生地に均一に入れ、35~40分焼く。
13 金網の上に型ごとタルトを載せ、冷ます。

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トゥリークル(Treacle)とは、砂糖きびを精製する過程で作られるシロップのことで、イギリス特有の名称です。ゴールデン・シロップ(Golden Syrup)と呼ばれるものもトゥリークルと同じもので、イギリスのお菓子に良く使われます。

トゥリークル・タルトは伝統的なお菓子の一つで、ハリー・ポターの大好物ということや、13世紀のチョーサーのカンタベリー物語にもトゥリークル(タルトという形ではないようです)が出てくることからも、とてもイギリスらしいお菓子といえるでしょう。

トゥリークルは、とても甘くて、キャラメルのような香りがじんわりとして、なんとなく懐かしい味がします。リネットさんの子供時代は、トゥリークルタルトが一番のご馳走でみんなで大はしゃぎしたそうです。やはりリネットさんのお母さんの作るトゥリークル・タルトが一番だったそうです。

ここで紹介しているレシピは、全粒粉のタルト生地を使ってあるので、甘いだけでなく深みのある味に仕上がっています。また、レモン入りの”洗練された”バージョンのレシピも紹介しておきます。

材料

<タルト生地>

・全粒粉 225g

・バター 125g

・冷水 大さじ3程度

<トゥリークル・フィリング>

・パン粉 大さじ2~3(摩り下ろし器で摩り下ろす)

・トゥリークル(ゴールデンシロップ)大さじ3

*”洗練された”バージョン

・摩り下ろしたレモンの皮とレモン汁 1個分

作り方

<タルト生地>

*生地をできるだけ手早く扱うことと、焼く前に冷蔵庫に入れて生地を冷ますこと。この2つが成功の秘訣です。また、タルト生地は粉とバターの割合がほぼ2:1なので、水の量加減を注意しながら、作る量を調節することができます。

1 直径20㎝くらいの型の内側にバターを薄く塗る。

2 ボールに粉とバターをいれ指先でバターを粉にまぶす。(全体に空気が入るようにまぶして、生地を軽く保つようにする。)

3 大さじ2~3の冷水を入れ、バターナイフで切るように生地を混ぜる。(生地は絶対に水っぽくならないように水加減に気をつけ、手早くさっと混ぜるのがコツです。パンの生地をこねるのとは正反対です。混ぜすぎると粉からグルテンが出て、生地が重く固くなってしまいます。)

4 タルト生地をゆっくりと型に指で広げていく。(全粒粉を使うときは、のし棒で伸ばすよりも手で伸ばしたほうが軽く仕上がります。)型全体に生地が均一になることを確かめる。(厚すぎないように、しかし薄すぎると破れてしまうので気をつけます。)

5 フォークを使って生地にいくつかの穴を開ける。(蒸気が抜ける穴です。表面を平らにするために、ベーキング用の豆を敷き詰めて焼く方法もありますが、穴を開けるだけで十分OKです。)

6 5を冷蔵庫に20~30分間くらい入れ、型のまま生地を冷ます。

7 オーブンを180度に温める。

8 型のまま冷ました生地をオーブンに入れ、15~20分間、薄い茶色になるまで焼く。(何も入れていないタルト生地だけを焼くことを ブラインド・ベイク Blind Bake と言います。)

<トゥリークル・フィリング>

9 型をオーブンから出して、生地の底にパン粉を敷き詰め、その上からトゥリークル(ゴールデンシロップ)をかける。

*”洗練された”バージョンの場合は、ここで摩り下ろしたレモンの皮とレモン汁1個分をシロップと一緒に加えます。

10 9をオーブンに入れ20~30分間焼き、全体がこんがりしていい香りがたっていたら、焼き上がり。

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