サフロンは、サフロン・クロッカスという花から、輝かしいばかりの黄色い色素が取れるだけでなく、ほのかな甘い香りもするので、古代から現代にわたり、食用の色、香りつけ(または衣類の染料)に使われています。
サフロンの原産地はギリシャ周辺で、現在は北アフリカ、南アジアなどで栽培されており、パエリアや、サフロン・ライスなどが有名なサフロンを使った料理です。
ウエスト・カントリーとは一般に、イギリス南西部に位置する、コーンウォル州、デボン州周辺のことを指すことから、このケーキは、コーンウォル・サフロン・ケーキとか、デボン・サフロン・ケーキとよばれることが多くあります。
中世の時代には、イギリス東南部、南西部を中心に、東地中海地域からサフロンを取り寄せて料理に使っていたらしいのですが、ほとんどの地域ではこの習慣がすたれ、ウエスト・カントリーにはこの習慣が今でも残っており、このレシピも現存してるということです。
今回紹介している、サフロン・ケーキは、イーストを使ってあるので、分類的にはブレッドなのかと思いますが、甘みもあり、ケーキのように食べるため、ケーキと名がついています。
サフロンは、とても高価なのですが、少量使うだけで、目を見張るような黄色い色素が出て、香り高いアロマが漂うので、ちょっと贅沢をしたいとき、または特別なお祭りのときには、もってこいの一品です。
現在でも、コーンウォール州、デボン州では、このサフロン・ケーキを、イースターのお祭りに食べる習慣があるそうです。
このレシピは、リネットさんがイーストを使ったお菓子を作るときに良く活用する、エリザベス・デイビッド(イギリスの料理研究家 1913~1992)の本からのもので、エリザベス・デイビッドは、デザート・ワインと一緒に食べることを薦めています。
また、ウエスト・カントリーの特産であるクロテッド・クリームを添えて食べるという食べ方もあるそうです。
私は、ティーを飲みつつ、普通にスライスして何もつけずに食べましたが、サフロンの高貴な香り、ほのかな甘みとドライフルーツの味は、ティーにとても良く合っていると思いました。
材料
(直径約20cmの深めの丸型ケーキ型、またはブレッド・ローフ型)
・サフロン 小さじ1 と1/2
・牛乳 145ml
・クイック・ドライ・イースト 小さじ1と1/2
・強力粉 450g
・ドライカラント 125g
・ドライ・オレンジ・ピール、またはサルタナレーズン 60g
・ライト・ブラウン・シュガー 60g
・ミックス・スパイス 小さじ1/2
・シナモン・パウダー 小さじ1/2
・ナツメグ 小さじ1/2
・塩 一つまみ
・ 卵 2個
・生クリーム 110g
<表面のつや>
・牛乳 大さじ1
・砂糖 大さじ1
リネットさんの庭のFritallary (Snake’s Head)
作り方
1 小なべに牛乳を沸騰する手前くらいまで温めて、火からおろし、指で砕いたサフロンを入れ、約10分間放置する。
(サフロンから色素が出て、牛乳が鮮やかな黄色になります。)
2 牛乳が人肌の温度になったのを確かめて、クイック・ドライ・イーストを入れて混ぜる。
3 大きいボウルに、ドライカラント、ドライ・オレンジ・ピール(またはサルタナレーズン)ライト・ブラウン・シュガー、ミックス・スパイス、シナモン・パウダー、ナツメグ 小さじ、塩 一つまみ、卵 2個、生クリーム を入れ、木べらで良く混ぜて生地にして、強力粉も加えて、約10分間手で良くこねる。
4 型の内側をベーキングシートで覆い(またはバターを薄く塗る)、生地を適当な形に整えて型に入れる。
5 生地がビニール袋にくっつかないように、ビニール袋をかぶせ、隙間があまりできないように洗濯ばさみでとめ、(または生地に粉をかけ、薄い濡れふきんを掛ける)暖かめの部屋に約1~2時間置く。
*生地の大きさが約2倍になるまで待ってください。
6 オーブンを220度に温め、小なべで砂糖大さじ1と牛乳大さじ1を入れ温める。
7 生地が2倍の大きさになったら、ビニール袋をそっと取り外し(濡れふきんをそっと取り外す)、オーブンに入れ、220度のまま15分焼き、その後はオーブンの温度を190度に下げて約15~20分焼く。(表面が焦げそうだったら、アルミホイルをかぶせてください。)
8 全体がこんがりして、焼けたような感覚がでたら、型をオーブンから取り出して、まだ熱いうちに、砂糖と牛乳のミックスをはけで塗る。
9 10分経ったら、型から出して金網にのせる。