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Archive for 2014年4月

IMG_2772 ウエスト・カントリー・サフロン・ケーキ

サフロンは、サフロン・クロッカスという花から、輝かしいばかりの黄色い色素が取れるだけでなく、ほのかな甘い香りもするので、古代から現代にわたり、食用の色、香りつけ(または衣類の染料)に使われています。

サフロンの原産地はギリシャ周辺で、現在は北アフリカ、南アジアなどで栽培されており、パエリアや、サフロン・ライスなどが有名なサフロンを使った料理です。

ウエスト・カントリーとは一般に、イギリス南西部に位置する、コーンウォル州、デボン州周辺のことを指すことから、このケーキは、コーンウォル・サフロン・ケーキとか、デボン・サフロン・ケーキとよばれることが多くあります。

中世の時代には、イギリス東南部、南西部を中心に、東地中海地域からサフロンを取り寄せて料理に使っていたらしいのですが、ほとんどの地域ではこの習慣がすたれ、ウエスト・カントリーにはこの習慣が今でも残っており、このレシピも現存してるということです。

今回紹介している、サフロン・ケーキは、イーストを使ってあるので、分類的にはブレッドなのかと思いますが、甘みもあり、ケーキのように食べるため、ケーキと名がついています。

サフロンは、とても高価なのですが、少量使うだけで、目を見張るような黄色い色素が出て、香り高いアロマが漂うので、ちょっと贅沢をしたいとき、または特別なお祭りのときには、もってこいの一品です。

現在でも、コーンウォール州、デボン州では、このサフロン・ケーキを、イースターのお祭りに食べる習慣があるそうです。

このレシピは、リネットさんがイーストを使ったお菓子を作るときに良く活用する、エリザベス・デイビッド(イギリスの料理研究家 1913~1992)の本からのもので、エリザベス・デイビッドは、デザート・ワインと一緒に食べることを薦めています。

また、ウエスト・カントリーの特産であるクロテッド・クリームを添えて食べるという食べ方もあるそうです。

私は、ティーを飲みつつ、普通にスライスして何もつけずに食べましたが、サフロンの高貴な香り、ほのかな甘みとドライフルーツの味は、ティーにとても良く合っていると思いました。

IMG_2753 リネットさんの庭で摘んだブルーベルとワイルド・チューリップ

材料

(直径約20cmの深めの丸型ケーキ型、またはブレッド・ローフ型)

・サフロン 小さじ1 と1/2

・牛乳 145ml

・クイック・ドライ・イースト 小さじ1と1/2

・強力粉 450g

・ドライカラント 125g

・ドライ・オレンジ・ピール、またはサルタナレーズン 60g

・ライト・ブラウン・シュガー 60g

・ミックス・スパイス 小さじ1/2

・シナモン・パウダー 小さじ1/2

・ナツメグ 小さじ1/2

・塩 一つまみ

・ 卵 2個

・生クリーム 110g

<表面のつや>

・牛乳 大さじ1

・砂糖 大さじ1

IMG_2689 リネットさんの庭のFritallary (Snake’s Head)

作り方

1 小なべに牛乳を沸騰する手前くらいまで温めて、火からおろし、指で砕いたサフロンを入れ、約10分間放置する。

(サフロンから色素が出て、牛乳が鮮やかな黄色になります。)

IMG_2677 牛乳に浸したサフロン

2 牛乳が人肌の温度になったのを確かめて、クイック・ドライ・イーストを入れて混ぜる。

3 大きいボウルに、ドライカラント、ドライ・オレンジ・ピール(またはサルタナレーズン)ライト・ブラウン・シュガー、ミックス・スパイス、シナモン・パウダー、ナツメグ 小さじ、塩 一つまみ、卵 2個、生クリーム を入れ、木べらで良く混ぜて生地にして、強力粉も加えて、約10分間手で良くこねる。

IMG_2680 強力粉以外の材料

4 型の内側をベーキングシートで覆い(またはバターを薄く塗る)、生地を適当な形に整えて型に入れる。

5 生地がビニール袋にくっつかないように、ビニール袋をかぶせ、隙間があまりできないように洗濯ばさみでとめ、(または生地に粉をかけ、薄い濡れふきんを掛ける)暖かめの部屋に約1~2時間置く。

*生地の大きさが約2倍になるまで待ってください。

IMG_2750 ビニール袋をかぶせる

6 オーブンを220度に温め、小なべで砂糖大さじ1と牛乳大さじ1を入れ温める。

7 生地が2倍の大きさになったら、ビニール袋をそっと取り外し(濡れふきんをそっと取り外す)、オーブンに入れ、220度のまま15分焼き、その後はオーブンの温度を190度に下げて約15~20分焼く。(表面が焦げそうだったら、アルミホイルをかぶせてください。)

8 全体がこんがりして、焼けたような感覚がでたら、型をオーブンから取り出して、まだ熱いうちに、砂糖と牛乳のミックスをはけで塗る。

9 10分経ったら、型から出して金網にのせる。

IMG_2792 スライス

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IMG_1631 - Copy ミセス・タシスのリトル・プディング

この1品は、ちょっと珍しいケーキで、リネットさんの尊敬するエリザベス・デイビッドのレシピ本からのものです。

エリザベス・デイビッド(1913-1992)は、1960年年代~1980年代にかけてイギリスの料理界に多大な影響を与えた料理・歴史研究家です。

エリザベス・デイビッドの料理に対する取り組みは、広範囲で奥が深く、レシピそのものだけでなく、歴史研究の域に達しているそうです。

リネットさんは、幾度となくこのレシピ本を使っていて、レシピ本は相当使い込んであります。(ページがはがれてきているので、修理が必要です。)

IMG_1626 使い込んであるエリザベス・デイビッドのレシピ本

エリザベス・デイビッドによると、このリトル・プディングのルーツは、1694年のAnn Belcoweのレシピにまでさかのぼることができ、最終的に、ミセス・タシスのリトル・プディングという名がついて現在に至ります。

興味深いのは、サービングするときに、上下を逆にしてお皿に出すことです。(ひっくし返したほうが安定がいいからだそうです。このひっくり返す方法がトルコ、ギリシャに見られるそうです。)

レシピを継承したミセス・タシスは、このレシピからAnn Belcowはトルコ、ギリシャの血をひいていると推測したそうです。

生地の中にイーストが入っているところは、ブリオッシュ、クグロフ、に似てますが、プディングであるゆえに、生地の食感はとてもしっとりしていしています。

レモン風味の爽やかさと、控えめな甘さが、カスタード・ソースと良く合います。

細長い円筒形の型にいれて焼くのが伝統のようですが、これと同じ型でなくてもOKです。

IMG_1622 本の挿絵のリトル・プディング

材料

<リトル・プディングの生地>

(直径約5cm、深さ約5cmの型8個、または2リットルの大きい型1個)

・強力粉 225g

・クイック・ドライ・イースト 小さじ1

・生クリーム 大さじ5

・卵 3個  (常温のもの)

・砂糖 90g

・レモンの皮 (摩り下ろしたもの)2個分

<カスタード・ソース>

・牛乳 280ml

・卵 1個

・デメララ・シュガー 大さじ山盛り1(好みで調節してください)

・バニラエッセンス 数滴

IMG_1616 焼けてる途中

作り方

<リトル・プディングの生地>

1 大きめのボウルに、砂糖、強力粉、クイック・ドライ・イーストを入れて混ぜる。

2 1のボウルに生クリームと卵を入れ、良く混ぜ合わせる。

3 2のボウルにレモンの皮を摩り下ろして、さらに混ぜる。

4 型の内側にバターを薄く塗り、生地を型に入れる。

*イースト発酵で増えるので、型の淵から3分の2以下くらいのところまで生地を入れてください。

5 型のまま、暖かい部屋に約1時間おいて、イースト発酵させる。(1時間後には生地が膨らみます。)

6 オーブンを190度に温めた後、型をオーブンに入れ、約15~20分焼く。(大きい型で焼く場合は、約40~45分焼く。)生地がこんがりして、真ん中を竹串でさしてみて、生地がついてこなかったら、焼き上がり。

7 金網の上である程度冷まし、型から生地を出す。

<カスタード・ソース>

1 牛乳をなべで沸騰しないように温める。(なべはすぐに使うので洗わないで脇に置いておく。)

2 大きめのボールに卵、砂糖、バニラエッセンスを入れ良く混ぜる。

3 2のボールに牛乳を入れさらに良く混ぜる。

4 3をなべに入れ、木べらを使って混ぜながら、ゆっくりと弱火で温め、全体にとろみがついてきたらできあがり。

IMG_1638 ひっくり返してカスタードと一緒に

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