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Archive for 2012年8月

 ブレッド・アンド・バター・プディング スライス

ブレッド・アンド・バター・プディングと言えば、多くのイギリス人は、学校給食とまつわる思い出や、幼い頃にお母さんが作ってくれた思い出があったりして、とてもノスタルジックなプディングのようです。

パン、牛乳、卵、砂糖、少々のバターがあれば作れてしまう、とても質素で家庭的なデザートです。

その発祥は17世紀のイギリスで、当時は古くなったパンや果物や肉などにスパイスを加えて作った形体のものだったそうです。

それが18世紀以降は、一般庶民の手にも卵、牛乳、砂糖が手に入るようになり、甘いプディングという現在の形体のものになり、今日まで基本的なレシピは変わっていないとのことです。

とはいえ、この質素なデザートは、1990年代初期以降、忘れ去られる傾向にありました。

それが、ごく最近のイギリスの人気シェフ達が、トレンディーなイギリス食文化の一つとして、レシピにアレンジを加えたりして、再度見直され、人気を盛り返しているようです。(1970年代に幼少期を過ごした、有名シェフ達自身の思い出のデザートということもあるようです。)

レシピのアレンジは、レモンやオレンジの皮を摩り下ろして加えたものの他、食パンの代わりにブリオッシュやパネトーネを使ったりする豪華なものも見られます。

ここで紹介しているリネットさんのレシピは、トラディショナルなもので、砂糖は控えめで、ミルクと卵の味がほんわかとする優しい味のものです。

冷めてから食べてもOKですが、リネットさんは、焼きたてを温かいまま食べるのが最高だと言っています。

このなんとなく薄味の温かいプディングというものが、イギリスのどんよりとした気候に妙に合っていて、これぞイギリスの味だなあ、としみじみと感じてしまいます。

好みで、牛乳やクリームをかけて食べるのもオツなものです。

 リネットさんの庭で採ったさえんどうの花 Snow pea flower

材料

(直径20cm、深さ5cmくらいの型)

・食パン 3~4枚

・バター 約大さじ1~2(パンの表面と、型の底に塗る分)

・卵 2個

・牛乳 550ml

・デメララ・シュガー(または普通の砂糖)大さじ2

・サルタナ・レーズン(なければ干しぶどう)大さじ2

・バニラ・エッセンス 数滴

*オプションとして(食べるときに)

・牛乳かクリーム 適量

 道端のポピーの花

作り方

1 オーブンを180度に温める。

2 食パンの片面にバターを塗る。

3 型の底にバターを塗る。

4 バターを塗ったほうの食パンの表面を上にして、約半分の量のパンを型に敷きつめる。

5 その表面にサルタナ・レーズンを全部散らす。

6 残りのパンをバターを塗った面を上にして敷き詰める。

7 卵を中サイズのボールに入れて溶いてから、砂糖、バニラエッセンス、牛乳を入れて良く混ぜる。

8 7を型に流し込んでパンに吸収させ、表面を整える。

9 型よりも少し大きめの耐熱の容器に水を張り、その中に8の型を入れてオーブンで約35~40分焼く。表面がこんがりしてきたら焼き上がり。

(焼いている途中から、プディングが大きく膨らみます。オーブンから出した後は平らにもどります。)

 ブレッド・アンド・バター・プディング

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 サマー・プディング

サマー・プディングは、夏に採れるベリー類の果物で作る、とてもイギリスらしいデザートです。プディングという名はついていますが、オーブン要らずの冷たいデザートです。

これはリネットさんのお母さんの大好物のデザートで、リネットさんも楽しく食べた思い出がたくさんあるそうです。ここで紹介しているレシピは、リネットさんのお母さんのものです。

イギリスのデザートということは確からしいのですが、どのようにしてこのデザートが生まれたかは、確かでないようです。

しかしある有力(?)なすじによると(Alan Davis というイギリスの歴史料理研究科)19世紀のイギリスのヘルス・リゾート(療養院のようなもの)で出されていたHydropathic Pudding(水治療法プディング) が発祥のようです。

この療養院では、バターの入ったペイストリーやケーキが禁止されており、バターを使わずにパンとベリーで作れるプディングが発明され、それが20世紀初頭に入り、Summer Pudding という魅力的な名前に変えられ、イギリスのプディングとして定着したそうです。

バターや油を一切使わずに、砂糖の量も控え目で、低カロリーの嬉しいデザートということは間違いないようですが、サマープディングは、クリームと一緒に食べるのが必須です。

ジュースがたっぷりとしみ込んだパンと、こぼれ出る甘酸っぱいベリーとクリームのコンビネーションは、とてもイギリスらしいもので、最高な夏のデザートです。お皿にたっぷり盛って、思いっきりクリームをかけて食べてください。

 リネットさんの庭のレッド・カレント(赤スグリ)Red currant

材料

(容量約800mlのプディング型ボール)

・食パン 約4~5枚

・ベリー類のフルーツ(ラズベリー、ブラック・カレント、レッド・カレント、ストロベリー、グースベリー、ブラック・ベリー)約600g

・水 大さじ3

・デメララ・シュガー(または普通の砂糖、蜂蜜)約100g

・ホイップ・クリーム 約500ml

 サマー・プディング 断面

作り方

1 中サイズのなべに、良く洗ったフルーツ、水と砂糖を入れ、3~5分くらい火を通す。

(砂糖が溶けて、フルーツからジュースが出たらOKです。煮すぎるとフルーツが壊れてそまうので、煮すぎないように気をつけてください。)

2 プディング型の底と側面にパンを敷き詰める。最初に底用にパンを円く切り抜いて敷き、丁寧に側面にも均一になるようにパンを敷き詰める。

(このとき、パンとパンの間に隙間ができないように注意してください。また、パンが厚すぎると、パンにしみ込むはずのジュースが足りなくなって、取り出したときに白い部分が残ってしまいます。)

3 なべで煮たフルーツとジュースを敷き詰めたパンの中に流し込む。

4 残りのパンできっちりと蓋をする。(このとき、パンがプディング型よりも少し高くなるようにしてください。)

5 4の上にお皿をのせ、その上に重たいもの(重石、缶詰など)をのせ、ぞのまま冷蔵庫で丸一日置く。

6 プディングをひっくり返して型から取り出す。(大きめのお皿をあて、プディング型をひっくり返して、ナイフなどを使って丁寧に取り出してください。)

7 クリームをホイップして飾りつけをする。

(クリームは、ホイップしたクリームでも、そのままのクリームでも、どちらもおいしいです。)

 サマー・プディング 盛り付け

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 チョコレート・プロフィトロール

プロフィトロール(Profiterol)とは、シュー(Choux)とも言われ、これらはもちろんフランス語ですが、この形体の食物はどうやら北部イタリアが起源ではないかと言われています。

16世紀には、すでにプロフィトロールという単語は、フランス語由来の英語として存在していたようですが、どうやら、スープの中に浮かべる小さなボール状のパンのようなものを指したらしいです。

チョコレート・プロフィトロールは、もちろん現在フランスでも人気のデザートで、イギリスでも結婚式のデザートととして登場したりします。

高く高く積み上げて、上からチョコレートをかけると大迫力です。

とはいえ、実はスーパーでも売っており、大体は1人用パックに3~4個入りになっていて、けっこう人気があるようです。

リネットさんのシューに関する思い出は、リネットさんのお母さんが、祖母のフローレンスさんに作ってもらったエクレアの話だそうです。

当時は、今のようにクリームのケーキがベーカリーでいつも買えることはなかったそうで、シュー生地の中にクリームの詰まったエクレアは、リネットさんのお母さんにとっては、大ご馳走だったそうです。

このレシピは、イブニング・コースでお菓子作りを教えているアイリーンさんから、リネットさんが受け継いだものです。

材料も簡単に揃うものばかりで、作り方はとてもシンプルです。ただ、ほんの少々温度に関して注意を払うことが大切、とリネットさんは言っています。

1 小麦粉を入れる時になべの水+バターが沸騰直前の温度で火から下ろされていること。

2 卵を混ぜるときに、生地が熱すぎないこと。(熱いと卵が固まってしまう。)

3 オーブンが十分温まっていること。

これらの点さえ守っていれば、驚くほど簡単にできてしまいます。

イギリスのエクレアもプロフィトロールも、中のクリームは甘くなく、チョコレートの甘さとハーモニーして食べるのが通常なので、もう少し甘さが欲しい場合は、チョコレートを溶かす際に少々お砂糖を入れてください。

作りたててが何と言っても最高です。

 リネットさんの庭の額紫陽花(がくあじさい)Lacecap Hydrangea

材料

(約10~12個分)

<シュー生地>

・小麦粉 65g(または全粒粉30g、白い小麦粉35g)*全粒粉だけで作ると重くなってしまうので。

・バター 50g

・水 150ml

・中サイズの卵 2個

・塩 1つまみ

<フィリング>

・ホイップ・クリーム 約500ml

<トッピング>

・チョコレート 150g

・バター 小さじ1/2

 焼きあがったばかりのシュー

作り方

<シュー生地>

1 オーブンを200度に温める。

2 トレイの上にベーキング・シートをのせる。

3 小麦粉と塩を混ぜる。

4 卵を小さめのボールで溶く。

5 中サイズのなべに水とバターを入れ、中火にかけ、沸騰直前になったら、火から下ろす

6 そのなべに小麦粉を入れ、木べらですばやく混ぜる。(このとき小麦粉が膨らんだようになります。)

7 なべを弱火にもどし、木べらでさらに1~2分良く混ぜる。(生地はボール状になり、なべの縁には生地は残りません。)

8 なべを火から下ろし、5分くらいおいて、生地を少々冷ます。

9 あらかじめ溶いておいた卵を、なべの中の生地に少しずつ入れ、木べらを使って良く混ぜる。(卵は数回に分けて入れてください。大きめの卵を使った場合、卵の量が多すぎて、生地が柔らかくなってしまうので、卵は全部使わないでください。)

10 搾り出し器に生地を入れ、大きめのノズルを使ってトレイに搾り出す。(直径4cmくらいの丸型だと、約10~12個分できます。)

*または、小さめのスプンを使って、直径4cmくらいの丸型を適当に作ってトレイにのせる。←上の写真はこの方法で作りました。とても簡単で手間が省けます。

11 オーブンで約30~35分焼く。

12 きつね色にこんがりしてきたら、オーブンから出して、金網の上で冷ます。

13 シューに切り込みを入れる。

<フィリング>

14 ホイップクリームをあわ立てる。

15 絞り器にクリームを入れて、シューの中にクリームを適量搾り出す。

*または、小さじを使って適量クリームを入れる。←上の写真はこの方法でつくりました。

<トッピング>

14 湯せんでチョコレートを溶かして、バターを溶かす。

15 クリームの詰まったプロフィトロールをお皿にのせ、チョコレートを上からかけて出来上がり。

 リネットさんの庭で見つけたカタツムリ

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