ブレッド・アンド・バター・プディングと言えば、多くのイギリス人は、学校給食とまつわる思い出や、幼い頃にお母さんが作ってくれた思い出があったりして、とてもノスタルジックなプディングのようです。
パン、牛乳、卵、砂糖、少々のバターがあれば作れてしまう、とても質素で家庭的なデザートです。
その発祥は17世紀のイギリスで、当時は古くなったパンや果物や肉などにスパイスを加えて作った形体のものだったそうです。
それが18世紀以降は、一般庶民の手にも卵、牛乳、砂糖が手に入るようになり、甘いプディングという現在の形体のものになり、今日まで基本的なレシピは変わっていないとのことです。
とはいえ、この質素なデザートは、1990年代初期以降、忘れ去られる傾向にありました。
それが、ごく最近のイギリスの人気シェフ達が、トレンディーなイギリス食文化の一つとして、レシピにアレンジを加えたりして、再度見直され、人気を盛り返しているようです。(1970年代に幼少期を過ごした、有名シェフ達自身の思い出のデザートということもあるようです。)
レシピのアレンジは、レモンやオレンジの皮を摩り下ろして加えたものの他、食パンの代わりにブリオッシュやパネトーネを使ったりする豪華なものも見られます。
ここで紹介しているリネットさんのレシピは、トラディショナルなもので、砂糖は控えめで、ミルクと卵の味がほんわかとする優しい味のものです。
冷めてから食べてもOKですが、リネットさんは、焼きたてを温かいまま食べるのが最高だと言っています。
このなんとなく薄味の温かいプディングというものが、イギリスのどんよりとした気候に妙に合っていて、これぞイギリスの味だなあ、としみじみと感じてしまいます。
好みで、牛乳やクリームをかけて食べるのもオツなものです。
リネットさんの庭で採ったさえんどうの花 Snow pea flower
材料
(直径20cm、深さ5cmくらいの型)
・食パン 3~4枚
・バター 約大さじ1~2(パンの表面と、型の底に塗る分)
・卵 2個
・牛乳 550ml
・デメララ・シュガー(または普通の砂糖)大さじ2
・サルタナ・レーズン(なければ干しぶどう)大さじ2
・バニラ・エッセンス 数滴
*オプションとして(食べるときに)
・牛乳かクリーム 適量
作り方
1 オーブンを180度に温める。
2 食パンの片面にバターを塗る。
3 型の底にバターを塗る。
4 バターを塗ったほうの食パンの表面を上にして、約半分の量のパンを型に敷きつめる。
5 その表面にサルタナ・レーズンを全部散らす。
6 残りのパンをバターを塗った面を上にして敷き詰める。
7 卵を中サイズのボールに入れて溶いてから、砂糖、バニラエッセンス、牛乳を入れて良く混ぜる。
8 7を型に流し込んでパンに吸収させ、表面を整える。
9 型よりも少し大きめの耐熱の容器に水を張り、その中に8の型を入れてオーブンで約35~40分焼く。表面がこんがりしてきたら焼き上がり。
(焼いている途中から、プディングが大きく膨らみます。オーブンから出した後は平らにもどります。)