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Archive for 2013年3月

IMG_1238 ホット・クロス・バンズ

イギリスのイースター(Easter=復活祭)には欠かせないものと言えば、このホット・クロス・バンズでしょう。

たまごの形をかたどったチョコレート(イースター・エッグ)も多く食べられますが、ホット・クロス・バンズは、チョコレートという嗜好品よりも、パンという食品に分類されるという点で、イースターの主役かなと、個人的には感じています。

(というのも、これといって決まったイースターのご馳走のメニューがイギリスには存在しないからです。)

このホット・クロス・バンズは、とりわけグッド・フラーデー(イエス様が十字架にかけられた日とされる)に食べるのが正統だとされています。

その、まさにクロスが、表面についた、フルーツとスパイスで味付けされた小型のお菓子パンです。

このクロスは単に、魔よけとして、部屋につるして1年の幸運を祈願したりする風習もあるそうです。

また、病人に食べさせると病気が治るとか、ホット・クロス・バンズをのせた船は沈没しない、などとも言われるそうです。

そもそもEasterという名称自体、キリスト教以前の女神 Eostre に由来していて、キリスト教徒に、春のお祭りとして定着したそうです。

IMG_1187 1次発酵前 IMG_1196 1次発酵後

ホット・クロス・バンズはとてもイギリス的なもので、その歴史は少なくとも1500年代の後半からという、とても古いものです。

イースターを祝う国々では、スパイスを混ぜたパンをイースター前後に食べる習慣があるそうなのですが、イギリスにおいてはこのホット・クロス・バンズは、伝統的にはグッドフライデー(イースターサンデーの前のフライデー)に食べるもの、と特定されているのが興味深いところです。

というのも、1500年代の後半~1600年代の前半の時代に、グッド・フライデーとクリスマス以外に、ホット・クロス・バンズを売ることを禁止した、という歴史の名残のようです。

(貧民に贅沢品を与えない、というような狙いからだったそうですが、実際は家々の台所で作り続けられていたそうです。)

ここで紹介しているレシピは、John Tovey という控えめなイギリス人シェフのレシピです。

スパイスと砂糖が、控えめになっていますが、その分ドライ・フルーツの味が引き立ちます。

(スパイスの強い味が好きな方は、スパイスを少しだけ増やしてもけっこうですが、シナモンは、入れすぎるとイースト菌の活動を弱めるそうなので、注意が必要です。)

写真のホット・クロス・バンズは、普通の強力粉で作ってありますが、全粒粉を半分混ぜた方がが体にもいいし、より市販のものと違う味になるはずです。

焼き立てはもちろんのこと、半分にスライスしてバターを塗るのもいいですし、トーストしてバターを塗るのがイギリス人の大好きな食べ方のようです。

そのさい、もう少し甘くして食べたいな、という時は、蜂蜜、マーマレードをぬるのがお勧めです。

ホット・クロス・バンズは、コーヒーではなく、絶対的にティーと相性がいいと思います。

IMG_1198 2次発酵前 IMG_1201 2次発酵後

材料

(約20cm×35cmのトレイ:約直径5cmのバン15個分)

・イースト と牛乳

A B のうちどれか一つ

A :すぐに使えるイージー・ブレンド・イースト7g

B:普通のドライ・イースト7g+砂糖小さじ1

・牛乳 225ml

・強力粉 315g (全粒粉と普通の強力粉を半分ずつ使うのもおすすめです。)

・ナツメグ 小さじ1/2

・シナモン 小さじ1/2

・砂糖 30g

・塩 小さじ1/2

・ミックス・ドライ・フルーツ 75g

・バター 25g

・卵 1個(半分は生地に入れる、半分は、表面に塗る)

<表面のクロス>

・薄力粉 約大さじ2~3

・水 少々

IMG_1204 焼く前 IMG_1221 焼きあがった直後

作り方

1 バターを小なべに入れて溶かして、脇に置いておく。

2 大きめのボウルを2つ用意して、強力粉を約半分ずつに分ける。

3 A のイージー・ブレンド・イーストを使う場合は一つめのボウルにイーストを混ぜ、牛乳を人肌に温めて、混ぜる。

Bのドライ・イーストを使う場合は、牛乳を温め、砂糖をスプン1入れ、イーストを軽く混ぜ、15分くらいおいてから、混ぜる。

4 2つ目のボウルにいれた強力粉に、シナモンパウダー、ナツメグパウダー、ドライ・ミックス・フルーツ、砂糖、塩を入れ混ぜる。

5 2つのボウルを一つにまとめる。

6 平らな表面の上に粉をふり、溶かしたバターと卵半分を混ぜ、生地を約110分間こねる。

(*手にっくっつきすぎる場合は粉を足し、固すぎる場合はぬるま湯を足して調節してください。)

7 丸めて、ボウルに入れ、表面にサランラップをぴったりとかぶせ、生地が2倍に大きくなるまで、発酵させる。:一次発酵。表面のサランラップは押し上げられた空気で、まるく膨らみます。

(*室温が25度前後の場合は約45分~1時間で2倍になりますが、室温が低めの場合は1時間以上置いて様子を見てください。また、温度が高めの場所に生地を置く場合は、温度が高くなり過ぎないように注意してください。)

IMG_1240 半分にスライス IMG_1246 バターを塗る

8 トレイの表面にバターを薄く塗る。

9 平らな表面で、生地を15等分に分け、生地を手のひらと表面でまるめ、トレイに間隔をあけながら置く。

10 固く絞った布を生地全体にかぶせ、そのまま常温で、生地が2倍になるまで置く。:  2次発酵。

(*室温が25度くらいの場合は約30分で2倍になります。この段階での大きさが焼き上がりの大きさになります。)

11 オーブンを220度に温める。

12 小さめのボウルに小麦粉と水少々をいれ、あわたて器、またはスプンで練るようにしっかり混ぜる。

13 ケーキのクリームの絞り器の一番小さいノズルをつけて、生地を入れ、細く出てくるか試す。

14 2倍に膨らんだ生地の表面に、クロスの生地をゆっくりと一度に搾り出す。(上の写真を参照してください。)

15 残りの半分のといた卵を、はけを使って、生地の表面に薄く塗る。(つやだしのためです。)

15 生地をオーブンに入れ、約20分焼いて、全体にはりがでてきた感覚があったら焼き上がり。

(15分後くらいから、表面がこげてきた場合は、アルミホイルをかぶせてください。)

(型のまま約5分冷まし、型から出して金網の上にのせる。)

IMG_1237 ホット・クロス・バンズ IMG_1260 トーストしてバター

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IMG_0974 フィギー・プディング+生クリーム

フィギー・プディングと聞けば、クリスマス・キャロルの一つ”We wish you a Merry Christmas” に出てくるFiggy Pudding を連想するイギリス人は多いと思いますが、実際にフィギー・プディングを食べたことのあるイギリス人は、現在はほとんどいないようです。

というのも、フィギー・プディングは19世紀を堺に、人気がなくなり、今では日常的には、このクリスマス・キャロルに名残があるくらいです。
We wish you a Merry Christmas;
We wish you a Merry Christmas;
We wish you a Merry Christmas and a Happy New Year.
Good tidings we bring to you and your kin;
Good tidings for Christmas and a Happy New Year.

Oh, bring us a figgy pudding;
Oh, bring us a figgy pudding;
Oh, bring us a figgy pudding and a cup of good cheer
We won’t go until we get some;
We won’t go until we get some;
We won’t go until we get some, so bring some out here

We wish you a Merry Christmas;
We wish you a Merry Christmas;
We wish you a Merry Christmas and a Happy New Year.

この歌も、フィギー・プディングも16世紀頃にその起源をさかのぼることができ、ヨーロッパの十字軍が中東から持ち帰った今日のプディングの原型だとされています。

フィギー・プディング自体は、姿を消したとはいえ、ドライ・フィグは、ヘルスフード・ショップでは定番のアイテムです。

ということで、ネットなどで探せば、フィギー・プディングのレシピは、けっこう見られます。

ここで紹介しているレシピは、リネットさんの新聞の切り抜きレシピの一つで、Phlippa Davenport という人のものだそうです。

リネットさんは、伝統的にプディング型に入れて、なべで蒸して作っていますが、蒸すのは時間がかかるので、オーブンで焼くと短時間で出来、焼き上がりも上々です。

オーブンで焼くにはケーキ型に入れるということなので、形がプディングの形にならないのと、プディングのブニブニ感が少なくて、気分が出ないというのが欠点でしょう。

フィギー・プディングの特徴は、なんといっても、プチプチと口の中ではじけるフィグの種の食感です。

柑橘類の風味とブラウンシュガーのコクが、お互いにひっぱりあっているような味がします。

プディングは、暖かいまま、生クリーム、カスタード、またはアイスクリームと一緒に食べるのが最高です。

IMGP4449 グレイト・ティット

材料

(1.2リットルのプディング型、または同等の体積のケーキ型)

・ドライ・フィグ225g

・レモン(またはオレンジ)摩り下ろした皮、果汁 1個分

・バター(常温で柔らかくしたもの)125g

・ブラウン・シュガー 125g

・卵 2個

・パンを摩り下ろしたもの(乾燥していない普通のパン)60g

・セルフ・レイジングの全粒粉 60g (または普通の全粒粉 60g+ベーキングパウダー小さじ1/2)

・ベーキング・パウダー 小さじ1/2

・シナモン・パウダー 小さじ1/2

・ミックス・スパイス 小さじ1/2

IMG_0956 アルミホイルの蓋と、紐のハンドル

作り方

1 フィグを適当な大きさに切る。(へたがあったら切り取って処分する)

2 レモン(またはオレンジ)の皮を摩り下ろして、果汁を絞る。

3 フィグを果汁に漬ける。

4 プディング型の内側に薄くバターを塗る。

*ケーキ型を使う場合は、型の内側をベーキングシートで覆い、オーブンを180度に温める。

5 大きめのボウルにバターと砂糖を入れ、木べらか、あわたて器で良く混ぜ合わせる。

6 卵を1つずつ入れ、さらに良く混ぜ合わせる。

7 全粒粉、ミックススパイス、シナモンパウダー、を入れ、さっと混ぜる。

8 パンを摩り下ろしてさらにさっと混ぜる。(このとき、生地が固すぎるようでしたら、牛乳またはジュースを少々混ぜて調節してください。)

9 生地をプディング型に入れ、生地の表面に2枚円く切りとったベーキングシートをぴったり載せ(水分が生地に入るのを防ぐ)、

型の上にアルミホイルをかぶせ真ん中に折り目をつけ(盛り上がった時のスペース分)、

綿の糸でしっかりと周囲を巻き、ハンドル部分をつける(ハンドルがないと、熱湯からプディング型を出すのがほど不可能です。)

*ケーキ型で焼く場合は、生地をケーキ型に入れ、表面をととのえ、オーブンに入れ、約1時間焼いて、竹串をさしてみて、生地がついてこなかったら焼きあがり。

10 なべに熱湯を沸かし、プディングの2/3くらいが熱湯に漬かるようにして、蓋をして、約2時間蒸す。(と中で熱湯が減っていたら、付け足してください。)

11 なべの火を消して、紐のハンドルを使ってプディング型を取り出しだす。

12 アルミホイルとベーキングシートを取り外して、プディングの側面にナイフをすべらせ、型にお皿をあてて全体をひっくっり返して、プディングを型から出す。

IMG_0960 型から出した直後

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IMG_0883 全粒粉とブラウンシュガーのレモンタルト

レモン・タルトというと、フランス語のタルト・オ・シトロンという名で知られている場合が多いかもしれません。

しかし、ここで紹介しているレシピは、リネットさんが新聞の切り抜きを長い間あたためていたもので、イギリス南東部のノーフォーク(Norfolk)が起源のようです。

その切り抜きのオリジナルは、Gogg’s Lemon Tart という名がついていて、そではサクサクのパイ生地を使っているそうです。

(そのGogg さんは、もとはというと、Mary Norton という人のレシピを引用しており、Mary Nortonさんは ノーフォークに住んでいた Julia Suurrell という人から引用したそうです。そのJulia さんの本1865年にさかのぼるそうです。)

というわけで、リネットさんがこのタルトを、全粒粉と、ブラウン・シュガーにアレンジするまでに、少なくとも、3人の人がレシピを引用していることになります。

オリジナルのレシピが、リネットさんのレシピに至るまでに、140年あまりかかっているわけです。

ということで、なんとなく、不思議な歴史を持つレモンタルトかな、と思います。

通常見かけるレモンタルトは、白砂糖を使っているので、レモンと卵の色がそのまま出て黄色いのですが、このレシピではブラウン・シュガーを使っているために、レモンの色とはほど遠い色になって仕上がっています。

リネットさんの、健康を気遣う気持ちが、この全粒粉と、ブラウンシュガーの色に表れていると思います。

1口食べるごとに、レモンの味とオレンジピールの風味が、いっぱいに広がる、少し驚きの味のタルトです。

(オレンジ・ピールが手に入らない場合は、オレンジ・ピールを省いてもOKです。)

爽やかで、かつ体にも悪くない、レモンタルトはコーヒーよりもアールグレーなどの紅茶と良く合うと思います。

IMG_0940 オレンジの皮の砂糖漬け(Candied Orange Peel)

材料

(直径約18cm~20cmのタルト型)

<タルト生地>

・全粒粉 125g

・バター 65g

・冷水 大さじ約2

<フィリング>

・バター 45g

・ブラウン・シュガー 65g

・卵 2個

・レモンの皮と果汁  1/2個分 (小さめのレモンなら1/3分)

・オレンジ・ピールの砂糖煮 約45g

IMG_0946 レモン

作り方

<タルト生地>

1 タルト型の内側にバターを薄く塗る。

2 ボウルに、全粒粉とバターを入れ、指先で良くなじませ、冷水も混ぜ生地を作る。

3 全体に生地がまとまったら、手早くタルト型の底と側面に生地をできるだけ均一に指でのせていく。

(のし棒で平らにしてタルト生地をのばしてもOKですが、リネットさんの方式の方が簡単で、出来上がりも上々です。)

4 生地の表面をフォークで、適当に空気穴を開ける。

5 生地を型のまま冷蔵庫に入れ、30分かそれ以上冷やす。

6 オーブンを220度に温める。

7 タルト生地を冷蔵庫から出し、すぐにオーブンで10~15分焼く。

<フィリング>

8 オーブンを190度にセットしなおす。

9 レモンを良く洗い、皮を摩り下ろして、果汁を絞る。

10 オレンジ・ピールを焼いたタルト生地の表面に適当にちりばめる。

11 なべにバターと砂糖を入れ、弱火で温め、たいだい混ざったら火から下ろして冷ます。

12 別の小さめの容器で卵を軽く混ぜて、バターと砂糖のミックスの中に入れ、良く混ぜる。

13 そこにレモンの摩り下ろした皮と果汁を入れ、混ぜ、型の中に流し入れる。

14 オーブンに型を入れ、20~25分焼く。全体に固まってきたのを確認したら焼き上がり。

IMG_0846 焼きあがった直後

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IMG_0870 オレンジ・キャロット・バナナのセモリナケーキ (チェリーの飾り)

セモリナとは、Durum Wheat(デュラム小麦)という小麦粉の1種です。普通の小麦粉に比べると、黄色くてめが荒く、さらさらしています。

このセモリナ粉をベーキングに使うと、生地がくっつきにくくなるという特徴もあります。

セモリナ粉を使ったケーキは、主に北アフリカ、トルコ周辺、イタリアなどに見られますが、イギリスでもセモリナは簡単に手に入ります。

このケーキは、オレンジを丸ごと使うという、とてもユニークなケーキです。にんじん、バナナもたっぷり入っているので、かなりヘルシーなケーキです。

テクスチャーは、極めてしっとりしていますし、何と言っても、オレンジの爽やかな香りがたまりません。

ここで紹介しているレシピのオリジナルは、若返りの料理本(Anti-Aging Cookbook by Robyn Martin)のもので、リネットさんが、薄力粉を全粒粉に、白砂糖をブラウン・シュガーにアレンジしたものです。

このケーキは、一般のスポンジケーキとは、とても違っているので、食べてみて初めて、体験できるケーキだと思います。

IMG_0869 - Copy リネットさんの庭で

材料

(直径約20cmのケーキ型)

・オレンジ 1個

・全粒粉 65g

・セモリナ粉 85g

・ベーキングパウダー 小さじ1/2

・重曹 小さじ1/2

・ブラウン・シュガー 125g

・サラダ油 60ml

・にんじん 130g(約1本と半分)

・バナナ 110g(約1本)

・卵白 2個分

<表面の飾り>

・クランベリー、チェリーなど 約30g

IMG_0839 生地にあわ立てた卵白を混ぜる

作り方

1 なべにオレンジをいれ、水を浸すくらいに入れ、中火にかけ、煮立ったら弱火で20~30分煮る。

→オレンジが柔らかくなったら、なべから取り出し、適当な大きさに切り冷ます。

2 オレンジを出来るだけなめらかになるようにすりつぶす。(フォークか、ポテトマッシュを使う。または電気器具で。)

3 オーブンを180度に温め、ケーキ型の内側をベーキングシートで覆う。

4 にんじんを細切りで摩り下ろす。

5 バナナをつぶす。

6 別の大きめのボウルに、全粒粉、セモリナ粉、ブラウン・シュガー、ベーキングパウダー、重曹をいれ、ミックスする。

7 6のボウルに、つぶしたオレンジ、にんじん、バナナ、サラダ油を加えて良く混ぜる。

8 別のボウルに卵を割りいれ、卵黄を取り除き、卵白のみを角が立つまであわ立てる。

9 あわ立てた白身を、生地の中に切るように混ぜる。

10 生地をケーキ型に入れ、クランベリー、またはチェリーをのせて、オーブンで約1時間~1時間15分焼く。

生地全体がしっかりしてきたのを確認できたら、焼き上がり。(竹串をさしても、セモリナ粉は、生焼けでも竹串についてこないので、注意してください。)

11 型のまま約10分おいた後、ケーキを型から取り出し、金網の上にのせて冷ます。

IMG_0880 オレンジ・キャロット・バナナのセモリナケーキ (ピース)

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