シラバブ(Syllabub)とは、なんだか不思議な名前ですが、一応の定義は、ミルクやクリームをワインと酸味のある果汁と混ぜて泡立て、甘味を付けたイギリスのデザートということだそうです。
歴史はとても古く、その記録は軽く16世紀の文献にまでさかのぼり、その後17世紀にはサミュエル・ピープスの日記に、19世紀にはトーマス・ヒューズの作品にもシラバブが登場しているとのことです。
しかし昨今では、忘れ去られたイギリスのデザートの一つのようで、お店やカフェなどで見かけたことはまずありませんし、聞いたこともありませんでした。
レモン風味のお酒と、ふんわりクリームは、いったん口の中に入れると、さーっと溶けてなんとも素敵な上品な味わいに包まれます。
生クリームと結構な量のワインや柑橘の果汁を混ぜて泡立てると、何時間か後にはクリームの部分が上に、液体の部分が下に少し分離してきます。
この分離を楽しむというのもこのデザートの楽しみ方で、歴史的な記録によると、シラバブ専用のしゃれた小さなグラスがあったそうです。(ミニチュアのパフェグラスに、取手がついているような形のグラスなどです。残念ながら本物を見たことはありません。)
作り方は極めて簡単で、レモンの代わりにオレンジを使ったり、ワインの代わりにブドウジュース(ノンアルコールバージョン)、シェリー酒やブランデーをラム酒やウイスキーに変えるなど、応用が利くのがとても楽しいポイントでもあります。
ラベンダーと蜜蜂
材料
(小さなガラスの小瓶で約4人分)
・白ワイン 75ml
・シェリー酒 大さじ12
・ブランデー 大さじ1
・レモンの絞り汁 12個分
・砂糖 大さじ34
・生クリーム 150ml
<飾り付け>
・ナツメグパウダー、またはすりおろしたレモンの皮 ほんの少々
ワイン、シェリー酒、ブランデーに漬けたレモンの皮 泡たてた直後
作り方
<前日>
1 レモンの皮をできるだけ薄くむき、果汁を絞る。
2 グラスにレモン汁、ワイン、シェリー酒、ブランデーを入れ、むいたレモンの皮を入れ一晩漬ける。
<当日>
3 レモンの皮を取り除いて、2の液体に砂糖を混ぜる。
4 大きめのボウルに3の液体と、生クリームを入れ、泡立て器でふんわりとなるまで泡立てる。
5 小さなグラスに分けて入れ、冷蔵庫で5、6時間から12時間冷やす。
6 食べる直前に、ナツメグパウダー、またはすりおろしたレモンの皮で飾り付ける。