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Archive for 2015年6月

IMG_9941 シラバブ、ナツメグかけ

シラバブ(Syllabub)とは、なんだか不思議な名前ですが、一応の定義は、ミルクやクリームをワインと酸味のある果汁と混ぜて泡立て、甘味を付けたイギリスのデザートということだそうです。

歴史はとても古く、その記録は軽く16世紀の文献にまでさかのぼり、その後17世紀にはサミュエル・ピープスの日記に、19世紀にはトーマス・ヒューズの作品にもシラバブが登場しているとのことです。

しかし昨今では、忘れ去られたイギリスのデザートの一つのようで、お店やカフェなどで見かけたことはまずありませんし、聞いたこともありませんでした。

レモン風味のお酒と、ふんわりクリームは、いったん口の中に入れると、さーっと溶けてなんとも素敵な上品な味わいに包まれます。

生クリームと結構な量のワインや柑橘の果汁を混ぜて泡立てると、何時間か後にはクリームの部分が上に、液体の部分が下に少し分離してきます。

この分離を楽しむというのもこのデザートの楽しみ方で、歴史的な記録によると、シラバブ専用のしゃれた小さなグラスがあったそうです。(ミニチュアのパフェグラスに、取手がついているような形のグラスなどです。残念ながら本物を見たことはありません。)

作り方は極めて簡単で、レモンの代わりにオレンジを使ったり、ワインの代わりにブドウジュース(ノンアルコールバージョン)、シェリー酒やブランデーをラム酒やウイスキーに変えるなど、応用が利くのがとても楽しいポイントでもあります。

IMG_9734 ラベンダーと蜜蜂

材料

(小さなガラスの小瓶で約4人分)

・白ワイン 75ml

・シェリー酒 大さじ12

・ブランデー 大さじ1

・レモンの絞り汁 12個分

・砂糖 大さじ34

・生クリーム 150ml

<飾り付け>

・ナツメグパウダー、またはすりおろしたレモンの皮 ほんの少々

IMG_9924 ワイン、シェリー酒、ブランデーに漬けたレモンの皮 IMG_9931 泡たてた直後

作り方

<前日>

1 レモンの皮をできるだけ薄くむき、果汁を絞る。

2 グラスにレモン汁、ワイン、シェリー酒、ブランデーを入れ、むいたレモンの皮を入れ一晩漬ける。

<当日>

3 レモンの皮を取り除いて、2の液体に砂糖を混ぜる。

4 大きめのボウルに3の液体と、生クリームを入れ、泡立て器でふんわりとなるまで泡立てる。

5 小さなグラスに分けて入れ、冷蔵庫で5、6時間から12時間冷やす。

6 食べる直前に、ナツメグパウダー、またはすりおろしたレモンの皮で飾り付ける。

IMG_9947 すりおろしたレモンの皮と   IMG_9950 スプーンで一口

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IMG_9670 ブライトン・バンズ

このブライトン・バンズは前回のNo.117で紹介したロンドン・バンズの別バージョンです。

ブライトン(Brighton)は、イギリス南部の海岸に面したとても自由な雰囲気の街で、夏は特に観光客や語学留学の学生でにぎわいます。

このお菓子は、ロンドン・バンズ同様、パンではなく、スコーンやロック・ケーキにかなり近いものです。

材料を混ぜて、適当な大きさに分けて焼くだけというシンプルさは、アフタヌーン・ティーに最適な一品です。

ロンドン・バンズとの違いは、ブライトン・バンズにはアーモンド・プードルが入っていることで、そのため、生地が少々しっとり感を帯びています。

このレシピも、ロンドン・バンズ同様リネットさんのおばあ様が残した手書きのレシピからのものです。

私は今回まで、ブライトン・バンズとう名前を聞いたことがありませんでしたし、お店で見かけたことも今のところありません。

ブライトンの地元のベーカリーに足を運べば発見できるのかもしれません。

好みでドライ・カレント、レーズン、ドライ・クランベリー、オレンジピールなどを混ぜて焼くこともできます。

(その際は、下記の作り方4の後に大匙2ほどのドライフルーツを混ぜてください。)

焼きたてを温かいまま、または少し冷めてからビスケットのように食べるのもおいしいですし、スコーンのように半分に切ってバター(またはクリーム)とジャムを塗ると、アフタヌーン・ティーの気分が盛り上がります。

IMG_9410 Poppyポピー)

材料

(約10個分)

・砂糖 40g

・バター(常温で柔らかくしたもの)60g

・セルフ・レイジングの薄力粉 125g(または普通の薄力粉125g+ベーキングパウダー 小さじ1/2)

・アーモンド・プードル 40g

・卵 1個

IMG_9657 焼く直前の生地 IMG_9659 焼きたて

作り方

1 オーブンを180度に温め、平らなトレイの上にベーキングシートを敷く。

2 中サイズのボウルに、砂糖とバターを入れ、全体が白っぽくなるまで泡だて器で良く混ぜる。

3 そこに卵を入れ、さらに混ぜる。

4 アーモンド・プードルを入れ、さっと混ぜ、薄力粉(+ベーキングパウダー)も入れ、全体が均一になるように手早く混ぜる。

5  スプーンを使って、生地をピンポン玉程度の大きさにして、ベーキングシートを敷いたトレイにのせる。

6 オーブンで15~20分焼いて、全体がほんのりと、色がついた感じになったら焼き上がり。金網の上に載せる。

IMG_9673 断面 IMG_9683バターといちごジャムで

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IMG_9389 ロンドン・バンズ

今回紹介するロンドン・バンズとは、珍しくロンドンという名が付いているイギリスのお菓子です。

しかし大都市としてのロンドンと反比例するかのように、ロンドン・バンズの知名度はかなり低いと思います。

このレシピは、度々登場するリネットさんのおばあさんが残した手書きのレシピからのものです。

私はこれまで、ロンドンバンズの存在を知りませんでしたし、お店でもまだ見たことはありません。

ネットで調べてみたところ、19世紀後半にはレシピの記録があったそうなので、かなり昔から存在していたようではあります。

バンズ(Bunの複数形) とは、普通丸いパンのことをいうのですが、ロンドン・バンズはパンではなく、スコーン、またはロック・ケーキに近いものです。(スコーンはNo.47、ロック・ケーキはNo.68で投稿しましたので、よかったら参照してください。)

とにかく作り始めてから食べるまで30分という早さが第一のポイントですが、作り方のシンプルさも大きな魅力で、材料を混ぜて適当な形にして焼くだけという、イギリスのホームベーキングらしいお菓子です。

摩り下ろしたレモンの皮が、このロンドン・バンズの一番のユニークな美味しさで、思わぬ香りが口いっぱいに広がります。

焼きたてを温かいまま、または少し冷めてからでも、どちらも美味しくいただけます。

半分に切ってバターをぬって、ティーと召し上がってください。

IMG_9347 リネットさんの庭で摘んだBlue Centaurea Montana(矢車菊)

材料

(約12個分)

・砂糖 (できればライト・ブラウン・シュガー)50g

・バター (常温で柔らかくしたものが扱いやすいですが、冷蔵庫からだしたままの硬いものでもOKです。) 65g

・薄力粉(または全粒粉) 225g

・ベーキング・パウダー 小さじ1

・サルタナ・レーズン 35g

・オレンジ・ピール(砂糖漬け) 35g

・摩り下ろしたレモンの皮 1個分

・卵 1個

・牛乳 80ml程度

IMG_9316 リネットさんの近所の庭のAzalea (つつじ)

作り方

1 オーブンを180度に温め、トレイにベーキングシートを敷く。

2 レモンの皮を摩り下ろす。

3 大き目のボウルに、小麦粉、ベーキング・パウダー、バターを入れ、指でバターをなじませるように全体を混ぜる。

4 そこに砂糖、サルタナ・レーズン、オレンジ・ピール、レモンの皮を入れて、均一になるように混ぜる。

4 そこにといた卵を入れ、ナイフを使って、切るようにさっと混ぜる。

5 最後に牛乳を入れ、ナイフを使って少し切るように混ぜたあと、手で生地を全体にまとめる。

6 生地を12等分して、適当な丸型にしてトレイに載せ、オーブンで約15~20分焼いて、こんがりした色になったら、焼き上がり。

IMG_9401 スライスして、バターをぬる

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