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Archive for the ‘イギリス イースト パン’ Category

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イースター(復活祭)の時期には、エッグ型のチョコレートが一番目につきますが、やはりイギリスのイースターと言えば、ホット・クロス・バンズだと思います。

と言っても最近は、年間を通してお店でホット・クロス・バンズを売っているので、イースターのパンと言うよりも定番のおやつパンという感じもしなくはありません。

以前No.65 で基本のホット・クロス・バンズを紹介したので、今回はほんの少し違うバージョンのものを紹介したいと思います。(No.65のレシピも良かったら参照してみてください。)

今回のレシピでは、まず粉の半分をスペルト小麦にしてみました。スペルト小麦とは、普通の小麦の原種のようなもので、栄養価が高い、アレルギーが少ない、カロリーもやや低め、という利点の多い古代穀物です。

それでいて強力粉と同じように膨らみ、こねる時間は強力粉よりも少々短くてOKで、味にも癖がないというパン作りに適した小麦粉です。

次に、ローフ型だとスライスしてトーストにするのがとても簡単という大きな利点があります。

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甘めの生地に、バター、ミックス・スパイス、シナモンの香りが練り込まれていて、とてもイギリスらしい味と香りがします。

作る過程で、生地を8等分にしないでクロスの飾りもつけずに、大きなパンとして焼くのももちろんOKです。

焼きあがった当日に食べる場合は、トーストにしないでバターをたっぷり塗って食べるのが最高ですし、翌日以降はトーストにしてバターを塗って食べるのがお勧めです。

トーストを焼いている間、部屋中にスパイスの甘い香りが漂って幸せいっぱいな気分になります。

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材料

(ローフ型1個分)

<ペースト>

・薄力粉 大さじ2

・水 90ml

・無塩バター 50g

・牛乳 125ml

・卵 1個

<パン生地>

・強力粉 180g

・スペルト小麦粉 180g

・白砂糖50g

・塩 小さじ1

・インスタント・アクティブ・イースト 7g(小袋1)

・ミックス・スパイス 大さじ1

・シナモン・パウダー 小さじ1

・摩り下ろしたレモンの皮 1個分

・ドライ・カレント(または干しぶどう)90g

<十字架のミックス>

・薄力粉 大さじ2

・水 大さじ1~2

<グレイジング>

・白砂糖 大さじ1

・レモンの果汁(または水)大さじ2

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作り方

<ペースト>

1 小なべに小麦粉と水を入れ、中火にかけてペースト状になるまで混ぜる。

2 ペースト状になったらなべを火からおろし、バターを混ぜてペーストが人肌温度かそれ以下になるまで置いておく。

3 そこに牛乳を入れて混ぜた後卵を入れ、全体がスムーズになるように混ぜる。

<パン生地>

4 出来るだけ大きなボウルを用意して、強力粉、スペルト小麦粉、砂糖、塩、イースト、ミックス・スパイス、シナモンパウダーを入れて良く混ぜ、真ん中に穴をつくり、ペーストの液体を入れ、手でパン生地全体をまとめる。

5 平らな表面に粉を敷き、パン生地を約5~6分こねる。

(スペルト小麦でなく、強力粉のみ、またはライムギ粉を使った場合は約6~8分こねてください。)

*パン生地は最初は手にくっついて大変ですが、数分経つと少し扱いやすくなってきます。全体の生地の感触は手にくっつくか、くっつかないかの程度を目安に、この段階で粉と水分を調節してください。

6 パン生地をまとめて、再び大きいボウルに戻し、サランラップをかけて、温かい部屋(20~25度くらいが理想です。)に約2時間置き、発酵させる。

*生地は約2倍の大きさに膨らみます。2倍の大きさになっていない場合は、もう少し待ってみてください。

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7 パン生地が2倍に膨らんだら、平らな表面に生地を取り出し、摩り下ろしたレモンの皮、ドライ・カレント(またはレーズン)を混ぜ、生地を8等分に分けて丸める。

*この時、膨らんだパン生地は小さくなりますが大丈夫です。

8 ローフ型の内側に油を塗り、下の段に丸めた生地を4つ、その上に4つのせ、薄く油を塗ったサランラップを上に軽くかぶせて、温かい部屋に約45分間置く。

*生地はまた2倍の大きさになります。

<十字架(クロス)ミックス>

9 オーブンを180度に温め、サランラップを取り外して十字架ミックスを作る。

10 丈夫なビニール袋の中に十字架のミックスを入れて、角をはさみでほんの少しだけ切り、パンにクロスを絞り出す。

*このミックスを作るのが面倒、またはいいビニール袋がない場合は、ミックスの水を少なめにして手でクロスを作ることもできます。ただしこのクロスの部分だけ固く焼きあがるので、食べる時に注意してください。

11 オーブンで約30~40分焼いて、全体に張りがでて、こんがりと良い感じの色が付いたら焼き上がり。

<グレイジング>

13 砂糖とレモン汁(または水)を小なべにかけ、砂糖が溶けたら、刷毛をつかってパンがまだ熱いうちにパンの表面に塗る。

*グレイジングは省略してもOKですが、光沢をつけると断然見た目が映ますし、表面のパンの味も美味しくなるので、出来れば省略しないことをお勧めします。

14 約10分後にパンを型から取り出し、金網の上にのせて冷ます。

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IMG_0549 イングリッシュ・マフィン

マフィンと聞くと、ケーキスタイルのアメリカンマフィンを連想することが多い気がしますが、今回はイングリッシュ・マフィンを紹介します。

マフィンは、オーストラリア、カナダ、アメリカなど英語圏の国々では日常的に食べられているそうです。

アメリカでは、ブレックファーストでエッグベネディクトとして良く食べられるそうですが、イギリスにおけるいわゆるイングリッシュブレックファーストの中には、イングリッシュ・マフィンは普通含まれていません。

どちらかと言うと、ちょとおしゃれなカフェなどでお目にかかる感じです。

しかしスーパーマーケットでは必ず売られているので、根強い人気はあると思います。

イギリスではビクトリア朝(1837~1902年)に、マフィンマンという行商が、家々を回ってマフィンを売り歩いていたそうで、そのマフィンマンが出てくる童謡は、大抵のイギリス人は歌えるそうです。

Do [or “Oh, do”] you know the muffin man,
The muffin man, the muffin man,
Do you know the muffin man,
Who lives in Drury Lane?

Yes [or “Oh, yes”], I know the muffin man,
The muffin man, the muffin man,
Yes, I know the muffin man,
Who lives in Drury Lane.

今回、リネットさんが作ったのを見て、発酵した生地のパンをフライパンで焼くという事実に驚きました。

焼きたてのマフィンは、ふんわりしててかつ弾力性があり、幸せの味そのものです。

冷めてから半分に切ってトーストすると、香ばしさと共に、生地の弾力性と軽さを同時に楽しめます。

IMG_0587 リネットさんの庭のスイートピーの花

材料

・強力粉 450g(全粒粉を使う場合は1/4全粒粉、3/4普通の強力粉)

・塩 小さじ1

・砂糖 小さじ1/2

・ドライ・イースト 小さじ2

・水と牛乳合わせて 330ml

・オリーブオイル 大さじ1

IMG_0526 フライパンで焼く

作り方

1 オーブンを120度程度に温めて、使う分の強力粉を30分くらい温める。(イースト菌を活性化しやすくするためです。)

2 温めた強力粉を大きめのボウルに入れ、塩、砂糖、ドライ・イーストを均一になるように混ぜる。

3 水と牛乳を小なべに入れ人肌温度に温め、2のボウルの粉と混ぜる。

4 3にオリーブオイルも入れて混ぜ、生地がまとまったら平らな表面で約10分間、よくこねる。

*生地はかなり柔らかいですが、根気よくこねているとまとまってきます。

5 トレイに薄く油を塗り、記事を4~5等分して、マフィンの形を作って、数センチ間隔で並べる。

6 トレイの表面に軽く、サランラップをかぶせ、暖かめの部屋で約1時間半おいて生地を発酵させる。

7 生地が約2倍になったら、フライパンにサラダオイルを少し敷いて、2~3分中火でマフィンの片面を焼いて、こんがりとしてきたら、弱火にして2~3分焼き、ひっくり返して5~6分焼く。

*焦げないように、途中経過を確かめながら焼いてください。

IMG_0617 目玉焼きと IMG_0611 トーストしてバター

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IMG_9366 コーニッシュ・スプリッツ、クリームと苺ジャム

コーニッシュ(Cornish)とは、イギリス南西部のコーンウォール州(Cornwall)の形容詞形で、スプリッツ(Splits)は、切込みを入れて半分にする、ということです。

コーンウォールは、隣のデボン州(Devon)とともに、クリームで有名な地域で、コーニッシュ・クリームティー とかデボン・クリーム・ティーなどと、アフタヌーン・ティーで特に有名です。

(クリーム・ティーとは、アフタヌーン・ティーの一つの典型で、牛乳を入れたティーに、スコーン、クロテッド・クリーム、ジャムがあることが条件だそうです。)

今回紹介するコーニシュ・スプリッツとは、スコーンに似てるのですが、イーストが入ったパンなので、作り方や、食感は結構違います。

コーンウォールでは、一般的なスコーンよりも、このコーニッシュ・スプリッツのほうが、伝統的にはアフタヌーン・ティーに好まれていたそうですが、時代とともにスコーンの波に押されがちになってきているそうです。

また、デボン州では、同じものをデボン・イースト・スコーンと呼んでいるそうです。

作り方は、丸パンを作るという過程と同じで、パンがまだ少し温かいうちに、半分に切って、クリームとジャムをふんだんにのせて(または挟んで)食べます。

伝統的には、水平にスライスして、まずバターを塗って(←これには驚きました)、その次にジャムを塗り、最後にクロテッドクリームをのせるそうです。

メインの写真は、レトロ感のあるパン屋さんでたまに見かける方法で、パンの切込みを斜めに入れて、クリームとジャムをふんだんに挟んであります。

今回紹介しているレシピは、リネットさんのおばあさんが残した、手書きのレシピ帳からのものです。

作り立てのまだ温かいパンを切って、クリームとジャムをのせて食べた瞬間は、あまりにも幸せで、頭が真っ白になってしましました。

リネットさんは、何も考えずに、ジャムを先にクリームを最後にのせたのが印象的でした。

私は何も考えないと、クリームを先に、ジャムを後でのせてしまうのですが、パンがまだ温かいという事実を考えると、クリームが後の方が絶対美味しいということに気づきました。

クロテッド・クリームが手に入る場合は、もちろん生クリームではなく、クロテッド・クリームで召し上がってください。

IMG_9346 リネットさんの庭で摘んだピオニー(Paeony ):シャクヤク

材料

(12個分)

・牛乳 (人肌の温度)285ml

・バター 30g

・砂糖 20g

・塩 小さじ1/2

・クイック・ドライイースト 1袋(約7g)

・強力粉 450g (全粒粉を使う場合は、全粒粉110g、普通の強力粉340g)

<フィリング>

・生クリーム 200ml

・苺ジャム(またはラズベリージャム) 約大さじ3

IMG_9330 焼きたて IMG_9335 コーニッシュ・スプリッツ

作り方

1 大きめのボウルに、強力粉、クイック・ドライイースト、砂糖、塩を入れて、均一になるように混ぜ、真ん中に穴をあけておく。

2 トレイの表面にサラダ油またはバターを少量塗る。

3 小鍋に牛乳とバター入れて、弱火で人肌の温度に温める。

4 1のボウルの穴の部分に、温めた牛乳をいっきに入れて混ぜ、全体の生地がまとまったら、平らな表面に粉を少々しいて、生地を8~10分こねる。

*生地は水っぽいですが、根気よくこねているうちに、だんだん水気は少なくなってきます。また、数分こねても生地が指にくっついて、どうしようもない場合は、粉を加えて生地を調節してください。

5 生地を12等分して、一つずつ丸めて、均等にトレイに並べ、生地の上に小麦粉を十分にふりかける。

6 スーパーのビニール袋をかぶせ、暖かい部屋に置いて生地を発酵させる。

*1時間半~2時間くらいで生地は約2倍に膨らむのですが、発酵が遅い場合は2時間半~3時間くらい根気よく置いてください。

7 生地が2倍に膨らんできたらオーブンを200度に設定して、10分くらいオーブンを温めた後、生地を約25分~30分焼いて、全体がこんがりして、手で軽く叩いてみて中に空気がある感触がしたら、焼きあがり。

8 5分後にトレイから出し、金網の上にのせる。

<食べる直前に>

9 生クリームを泡立てる。

9 パンがまだ少々温かいうちに、パンを斜めに切り、泡立てたクリームとジャムを挟む。またはパンを水平に切り、クリームとジャムぬる。

IMG_9336 クリームの上にラズベリージャム IMG_9338 ラズベリージャムの上にクリーム

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IMG_5541 アイリッシュ・ティー・バラック

冬に食べたいケーキのひとつに、熱々のティーと相性のいいフルーツ・ケーキがあります。

バラック(Brack)とは、アイルランドの古語ではパン(Bread)だそうで、アイリッシュ・ティー・バラックは、フルーツ・ブレッドとフルーツ・ケーキの中間にある感じのケーキです。

このケーキとそっくり(というかほぼ同じ)なものが、ウエールズにもあり、バラ・ブリス(Bara Brith)という名称で知られています。

どちらのケーキも、、ドライ・フルーツを前日にティーに漬けてから作りますが、イーストを使ったバージョンと、ベーキングパウダーを使ったものがあります。

今回紹介するレシピは、イーストを使わないバージョンで、リネットさんがよく作るもので、前日にフルーツを漬けてさえおけば、驚くほど簡単に作れます。

一晩ティーに漬かったフルーツは、ケーキの生地を最高にしっとりさせ、奥深い香りをかもします。

このケーキは、アイルランドでは伝統的にはハローウィンの頃に食べるそうなのですが、寒い冬の日に熱々のティーと頂くと、とても体が温まり、幸せな気持ちになります。

IMG_5980 ウインター・ベリー(Sorbus Aucuparia)

材料

(大きめのローフ型一つ)

・ドライ・レーズン(またはサルタナ・レーズン)500g

・ライト・ブラウン・シュガー 100g

・冷えた紅茶 カップ1(約200ml)

・全粒粉 250g

・ベーキング・パウダー 小さじ1

・卵 1個

IMG_5537 ローフ

作り方

<焼く前日>

1 紅茶を濃いめに入れて冷ます。

2 大きめのボウルに冷めた紅茶、ドライ・フルーツ、砂糖を入れさっと混ぜてから一晩おく。

<焼く当日>

3 オーブンを180度に温め、型の内側をベーキングシートで覆う。

4 2のボウルに溶いた卵を入れ、よく混ぜ、全粒粉とベーキングパウダーを入れ、さっと混ぜる。

5 生地を型に入れ、表面を整えオーブンで約2時間焼く。

6 生地全体に張りが出て、真ん中を竹串でさしてみて、生地がついてこなかったら焼きあがり。

7 10分後にケーキを型から出し、金網の上におく。

*温かいまま、冷めてから、どちらもおいしくいただけます。また、バターを塗ると一層おいしさが引き立ちます。

IMG_5544 スライスして、バター

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rhum baba individual ラム・ババ

ラム・ババは、日本ではサバランとして知られている、フランスのケーキです(フランス語はBabas au Rhum)。

日本でもサバランはちょっとレトロなお店で見かけるように、イギリスでもラムババは、レトロの存在になっているようです。

私が今までラムババを見かけたのは、ちょっと古びたギリシャ経営のパン屋さんです。

まず名前の由来は、ポーランド語のバブカ(Babka)という円筒形のパンの名称だそうです。

(なんとなく、アリ・ババに関係するのかと思っていたら、全然違いました。)

その形から、サバランがドーナツ型で作ってあるのに対して、ラムババは伝統的には円筒形で作ります。(レシピの写真は、カップケーキ型を使いました。)

サバランはラムババにインスピレーションをもらって作られたことからもわかるように、ラムババがサバランの元祖といえます。

ラムババはラム酒を使うのに対し、サバランはキルシュ(サクランボのお酒)を使うことが多いそうですが、実際のところは、ラムババに丸いドーナツ型を使ったり、サバランにラム酒を使ったり、いろいろのようです。

ラム・ババの歴史はとても古く、18世紀にポーランドの王がフランスのアルザス・ロレーヌ地方に亡命してきたところから始まります。

この王がクグロフ(Gugelhupt:イーストを使ったほんのり甘いパン)をお酒に浸して食べることを思いついた、または王の専属シェフがバブカ(上記のポーランドのパンBabka)が乾燥して古くなったのをマラガワインに浸して食べる方法を思いついた、という2つの説があるそうです。

その後、この王の子孫のシェフが、このどちらかのレシピを受け継ぎ1835年にパリでこのラムババ(フランス語はBabas au Rhum)が誕生したそうです。

それ以来、ヨーロッパ、アメリカ、もちろん日本にも、このラムババが広まって人々に愛され続けているということになります。

今回紹介しているラムババのレシピは、リネットさんが愛用しているレシピ本のひとつMaking the art of French Cooking からのものです。

ラムババの生地は、ほとんどブリオッシュなのですが、ラムシロップに浸すので、ブリオッシュとしてはいまいちの出来でも、食べるときには十分おいしくなっています。

その点では、生地がちゃんと膨らんで、火が通ったパンが焼ければラムババはとても簡単に出来てしまいます。

冷蔵庫で冷やしたラムババは、一口ごとにジュワーっとおいしいラムシロップが口いっぱい、というか体全体に広がります。

リネットさんは、ラムババをしっかりとした容器に入れて、最近はピクニックとして外で食べるのに凝っているようです。

お酒が強いのが苦手な方は、お酒の量を半分くらいに減らしてください。また増やしたい方は、適度に増やしてください。

IMG_3299 オリジナルのレシピ本 Making the art of French Cooking

材料

(直径約5cm、深さ約5cmの円筒型約12個分)

<生地>

・強力粉 225g (全粒粉を使う場合は、1/3全粒粉、2/3を強力粉)

・クイック・ドライ・イースト 7g

・砂糖 大さじ2

・塩 小さじ1/8

・卵 2個

・ぬるま湯 大さじ2弱

・バター 60g(生地の中に入れる用)

・バター 15g(型の内側に塗る用)

<ラム・シロップ>

・水 420ml

・砂糖 (出来ればライト・ブラウン・シュガー)185g

・ラム酒(出来ればダークラム)140ml

<デコレーション>

・ドレンチェリー(または本物のチェリー) 12個

・生クリーム 200ml

IMG_3300 リネットさんの庭のイエロー・ポピー

作り方

1 なべにバターを入れ、弱火で溶かして人肌温度にさます。

2 型の内側にバターを薄く塗る

3 大きいボウルに、強力粉、クイック・ドライ・イースト、1のバター、ぬるま湯、溶いた卵、砂糖、塩を入れ、木べらで良く混ぜる。

4 生地がだいたい混ざったら、ボウルから出し、平らな表面で生地を約10~12分間良くこねる。

*初めは生地が手にくっつきますが、そのうち、生地はまとまってきます。

5 生地を12個にわけ、それぞれを直径4cmくらいの丸い形にまとめる。

*一つずつに生地を分けたら、直径10cmくらに平たくしてから端をまとめて丸いボール状にすると、表面がきれいにまとまります。

6 生地を型に入れ、表面にうっすらと粉をかけ(濡布巾がくっつかないように)、濡れ布巾をかぶせたまま、生地が2倍の大きさになるまで約2時間(場合によっては3時間)暖かい場所で発酵させる。

*部屋の温度は25度~30度が適温ですが、部屋が寒い場合は、オーブンを低温で温めた後スイッチをオフにしてその中に置く、またはストーブの近くに置いてください。

IMG_3350   発酵前の生地(直径約4cmのボール状)

7 生地が約2倍の大きさになったのを確かめてから、オーブンを220度にあたため、生地を約15~20分焼く。

IMG_3352 焼く直前の発酵後の生地(約2倍の大きさ)

IMG_3357 焼き上がり直後の生地

8 生地を焼いている間にラム・シロップを作る。普通の大きさのなべに、砂糖と水を入れ、中火で煮立たせ、砂糖が溶けた火を止め、ラム酒を入れる。

9 オーブンの中の生地がこんがりして、中が空洞になった感覚が出たら、パンを型から出して、金網の上にのせる。

10 深さ5cm程度のパイ皿などの容器に焼きあがったパンを並べ、楊枝でラム・シロップが浸透するように穴をつきさす。

*1個のパンにつき、15~20くらい突き刺してください。

11 ラム・シロップとパンの両方が、暖かい温度(人肌かちょっとそれ以上、でも熱過ぎない程度)になっているのを確かめて、大きめのスプーンでシロップを満遍なくかける。

*シロップの量が多すぎる! と感じるかも知れませんが、パンが吸収するので、シロップは全部使ってください。

IMG_3365 ラム・シロップに漬ける

12 適度な温度に冷めたら、冷蔵庫に2時間以上入れて冷やす。

13 生クリームをあわ立てて、ラムババの上に絞り、チェリーをのせる。

IMG_3388 ラム・ババ

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IMG_2776 ケント伯爵夫人のスパイス・ブレッド

このレシピはとても稀なもので、原型は1653年に遡ることができる、とても古いものです。

その数百年後の1973年に、イギリスの料理研究科エリザベス・デイビッドによって少々手が加えられ、今日もひそかに存在しているレシピです。

お店でこのパンを見かけたこともありませんし、聞いたこともありません。今回リネットさんの紹介で、私自身このケーキの存在を始めて知りました。

イースト菌が使われているので、一応パンのに分類されてはいますが、その甘み、まろやかな味からケーキとよばれることもよくあります。

19世紀半ばにベーキングパウダーが開発される以前は、パンやケーキを膨らませるのは、イースト菌が主な材料だったので、イースト菌が使われた甘いケーキは、一般的に古いレシピです。

イースト菌を使ったケーキのような甘いパンは、特別な日(またはお祭りの日)のブレッド(Festive Bread)ともよばれ、イタリアのパネトーネや、ドイツのシュトレンなどはこの類になります。

IMG_2731 シェリー酒

このケント伯爵夫人のスパイス・ブレッドは、特定のお祭りのパンであったという記録はないのですが、その特徴は、何といってもシェリー酒がたっぷりと入っていることだと思います。

シェリー酒は、スペイン原産のワインの一種(強化ワイン)で、イギリスでは16世紀にはすでに一般的に飲まれるようになっていて、イギリスにすっかり定着していて、お店のお酒コーナーには必ずあるお酒です。

といっても、イギリスではクリスマスの時期にチーズを食べながらシェリー酒を飲むのは良くありますが、ビールやワインの様には、普段あまり飲まれていません。

どちらかというと、おばあちゃまが飲む、ちょっとレトロなドリンクというような位置づけになっているように思います。

Countess とは伯爵夫人で、Elizabeth Grey という17世紀のケント伯爵の夫人をさしているそうです。そして当時はこのパンは紳士、貴婦人の食べ物、とされていたそうです。

というのは、シェリー酒、生クリーム、卵、アーモンドプードル、ドライ・フルーツなどといった、豪華な材料がふんだんに使われていて、出来上がりがとても上品な味になっているからだと思います。(原型にはローズ・ウォーター入り)

シェリー酒が入った生地がオーブンで焼けている間は、今までに体験したことのないすばらしい香りがしました。

生地はとてもしっとりとしていて、材料のすべてが微妙にミックスされた風味には、不思議なおいしさがあります。

イングランドの上流階級の歴史を感じさせてくれる味の一品です。

IMG_2702 リネットさんの庭のチューリップ

材料

(直径約20cm、深さ約10cmのケーキ型、または大きめのローフ型)

・強力粉 500g

・牛乳 225ml

・バター 125g

・ドライ・イースト 小さじ1と1/2

・卵 1個

・生クリーム 145ml

・ドライ・カラント 175g

・アーモンド・プードル 95g

・砂糖(出来ればライト・ブラウンシュガー)65g

・塩 一つまみ

・ナツメグ 小さじ1/2

・ミックス・スパイス・パウダー 小さじ1

・シェリー酒 (できれば、色の薄いPale Sherry)40ml

IMG_2741 リネットさんの庭のフクシア/釣浮草(Fuchisia)

作り方

1 小なべに牛乳を入れ、弱火で温めバターを溶かす。

2 大きいボウルに、小麦粉、ドライ・イースト、ドライ・カラント、アーモンド・プードル、砂糖、塩、ナツメグ、ミックス・スパイス・パウダーを入れ、良く混ぜる。

3 2のボウルに卵を入れ木べらで良く混ぜ、生クリームも入れて良く混ぜる。

4 1の牛乳とバターのミックスが人肌温度なのを確かめて、ボウルに入れ、木べらでまず混ぜてから、10~15分手でこねる。

*かなり、手にくっつく生地ですが、がんばってこねてください。

5 シェリー酒を生地に混ぜる。

6 型の内側をベーキングシートで覆い、生地を入れる。

7 生地か膨らむ余裕を見こして、ビニール袋をかけ、暖かいところに約2時間置く。

*イーストが働いて、生地は2倍の大きさになります。寒い部屋だと、イーストの発酵が遅くなるので、3~4時間くらいかかる場合もありますが、ゆっくり待つのがいいでしょう。

8 生地が2倍の大きさになってきたら、オーブンを200度に温め、発酵用のビニール袋をとって生地をオーブンに入れ15分焼き、アルミホイルをかぶせてさらに約30分焼く。

*オーブンの具合を見ながら、ホイルをかぶせる時期を調節してください。

9 気をつけながら、パンの表面をほんの軽く手で叩いてみて、軽さを感じたら焼き上がり。

10 オーブンからパンを出し、10分後に型から出して金網の上にのせ、冷ます。

IMG_2799 スライス

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IMG_2772 ウエスト・カントリー・サフロン・ケーキ

サフロンは、サフロン・クロッカスという花から、輝かしいばかりの黄色い色素が取れるだけでなく、ほのかな甘い香りもするので、古代から現代にわたり、食用の色、香りつけ(または衣類の染料)に使われています。

サフロンの原産地はギリシャ周辺で、現在は北アフリカ、南アジアなどで栽培されており、パエリアや、サフロン・ライスなどが有名なサフロンを使った料理です。

ウエスト・カントリーとは一般に、イギリス南西部に位置する、コーンウォル州、デボン州周辺のことを指すことから、このケーキは、コーンウォル・サフロン・ケーキとか、デボン・サフロン・ケーキとよばれることが多くあります。

中世の時代には、イギリス東南部、南西部を中心に、東地中海地域からサフロンを取り寄せて料理に使っていたらしいのですが、ほとんどの地域ではこの習慣がすたれ、ウエスト・カントリーにはこの習慣が今でも残っており、このレシピも現存してるということです。

今回紹介している、サフロン・ケーキは、イーストを使ってあるので、分類的にはブレッドなのかと思いますが、甘みもあり、ケーキのように食べるため、ケーキと名がついています。

サフロンは、とても高価なのですが、少量使うだけで、目を見張るような黄色い色素が出て、香り高いアロマが漂うので、ちょっと贅沢をしたいとき、または特別なお祭りのときには、もってこいの一品です。

現在でも、コーンウォール州、デボン州では、このサフロン・ケーキを、イースターのお祭りに食べる習慣があるそうです。

このレシピは、リネットさんがイーストを使ったお菓子を作るときに良く活用する、エリザベス・デイビッド(イギリスの料理研究家 1913~1992)の本からのもので、エリザベス・デイビッドは、デザート・ワインと一緒に食べることを薦めています。

また、ウエスト・カントリーの特産であるクロテッド・クリームを添えて食べるという食べ方もあるそうです。

私は、ティーを飲みつつ、普通にスライスして何もつけずに食べましたが、サフロンの高貴な香り、ほのかな甘みとドライフルーツの味は、ティーにとても良く合っていると思いました。

IMG_2753 リネットさんの庭で摘んだブルーベルとワイルド・チューリップ

材料

(直径約20cmの深めの丸型ケーキ型、またはブレッド・ローフ型)

・サフロン 小さじ1 と1/2

・牛乳 145ml

・クイック・ドライ・イースト 小さじ1と1/2

・強力粉 450g

・ドライカラント 125g

・ドライ・オレンジ・ピール、またはサルタナレーズン 60g

・ライト・ブラウン・シュガー 60g

・ミックス・スパイス 小さじ1/2

・シナモン・パウダー 小さじ1/2

・ナツメグ 小さじ1/2

・塩 一つまみ

・ 卵 2個

・生クリーム 110g

<表面のつや>

・牛乳 大さじ1

・砂糖 大さじ1

IMG_2689 リネットさんの庭のFritallary (Snake’s Head)

作り方

1 小なべに牛乳を沸騰する手前くらいまで温めて、火からおろし、指で砕いたサフロンを入れ、約10分間放置する。

(サフロンから色素が出て、牛乳が鮮やかな黄色になります。)

IMG_2677 牛乳に浸したサフロン

2 牛乳が人肌の温度になったのを確かめて、クイック・ドライ・イーストを入れて混ぜる。

3 大きいボウルに、ドライカラント、ドライ・オレンジ・ピール(またはサルタナレーズン)ライト・ブラウン・シュガー、ミックス・スパイス、シナモン・パウダー、ナツメグ 小さじ、塩 一つまみ、卵 2個、生クリーム を入れ、木べらで良く混ぜて生地にして、強力粉も加えて、約10分間手で良くこねる。

IMG_2680 強力粉以外の材料

4 型の内側をベーキングシートで覆い(またはバターを薄く塗る)、生地を適当な形に整えて型に入れる。

5 生地がビニール袋にくっつかないように、ビニール袋をかぶせ、隙間があまりできないように洗濯ばさみでとめ、(または生地に粉をかけ、薄い濡れふきんを掛ける)暖かめの部屋に約1~2時間置く。

*生地の大きさが約2倍になるまで待ってください。

IMG_2750 ビニール袋をかぶせる

6 オーブンを220度に温め、小なべで砂糖大さじ1と牛乳大さじ1を入れ温める。

7 生地が2倍の大きさになったら、ビニール袋をそっと取り外し(濡れふきんをそっと取り外す)、オーブンに入れ、220度のまま15分焼き、その後はオーブンの温度を190度に下げて約15~20分焼く。(表面が焦げそうだったら、アルミホイルをかぶせてください。)

8 全体がこんがりして、焼けたような感覚がでたら、型をオーブンから取り出して、まだ熱いうちに、砂糖と牛乳のミックスをはけで塗る。

9 10分経ったら、型から出して金網にのせる。

IMG_2792 スライス

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IMG_1631 - Copy ミセス・タシスのリトル・プディング

この1品は、ちょっと珍しいケーキで、リネットさんの尊敬するエリザベス・デイビッドのレシピ本からのものです。

エリザベス・デイビッド(1913-1992)は、1960年年代~1980年代にかけてイギリスの料理界に多大な影響を与えた料理・歴史研究家です。

エリザベス・デイビッドの料理に対する取り組みは、広範囲で奥が深く、レシピそのものだけでなく、歴史研究の域に達しているそうです。

リネットさんは、幾度となくこのレシピ本を使っていて、レシピ本は相当使い込んであります。(ページがはがれてきているので、修理が必要です。)

IMG_1626 使い込んであるエリザベス・デイビッドのレシピ本

エリザベス・デイビッドによると、このリトル・プディングのルーツは、1694年のAnn Belcoweのレシピにまでさかのぼることができ、最終的に、ミセス・タシスのリトル・プディングという名がついて現在に至ります。

興味深いのは、サービングするときに、上下を逆にしてお皿に出すことです。(ひっくし返したほうが安定がいいからだそうです。このひっくり返す方法がトルコ、ギリシャに見られるそうです。)

レシピを継承したミセス・タシスは、このレシピからAnn Belcowはトルコ、ギリシャの血をひいていると推測したそうです。

生地の中にイーストが入っているところは、ブリオッシュ、クグロフ、に似てますが、プディングであるゆえに、生地の食感はとてもしっとりしていしています。

レモン風味の爽やかさと、控えめな甘さが、カスタード・ソースと良く合います。

細長い円筒形の型にいれて焼くのが伝統のようですが、これと同じ型でなくてもOKです。

IMG_1622 本の挿絵のリトル・プディング

材料

<リトル・プディングの生地>

(直径約5cm、深さ約5cmの型8個、または2リットルの大きい型1個)

・強力粉 225g

・クイック・ドライ・イースト 小さじ1

・生クリーム 大さじ5

・卵 3個  (常温のもの)

・砂糖 90g

・レモンの皮 (摩り下ろしたもの)2個分

<カスタード・ソース>

・牛乳 280ml

・卵 1個

・デメララ・シュガー 大さじ山盛り1(好みで調節してください)

・バニラエッセンス 数滴

IMG_1616 焼けてる途中

作り方

<リトル・プディングの生地>

1 大きめのボウルに、砂糖、強力粉、クイック・ドライ・イーストを入れて混ぜる。

2 1のボウルに生クリームと卵を入れ、良く混ぜ合わせる。

3 2のボウルにレモンの皮を摩り下ろして、さらに混ぜる。

4 型の内側にバターを薄く塗り、生地を型に入れる。

*イースト発酵で増えるので、型の淵から3分の2以下くらいのところまで生地を入れてください。

5 型のまま、暖かい部屋に約1時間おいて、イースト発酵させる。(1時間後には生地が膨らみます。)

6 オーブンを190度に温めた後、型をオーブンに入れ、約15~20分焼く。(大きい型で焼く場合は、約40~45分焼く。)生地がこんがりして、真ん中を竹串でさしてみて、生地がついてこなかったら、焼き上がり。

7 金網の上である程度冷まし、型から生地を出す。

<カスタード・ソース>

1 牛乳をなべで沸騰しないように温める。(なべはすぐに使うので洗わないで脇に置いておく。)

2 大きめのボールに卵、砂糖、バニラエッセンスを入れ良く混ぜる。

3 2のボールに牛乳を入れさらに良く混ぜる。

4 3をなべに入れ、木べらを使って混ぜながら、ゆっくりと弱火で温め、全体にとろみがついてきたらできあがり。

IMG_1638 ひっくり返してカスタードと一緒に

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IMG_1947 全粒粉の胡桃パン

イギリスのパンは、白いパンも全粒粉のパンもどちらも主流です。

全粒粉は、繊維や栄養が多いので、全粒粉のパンはとても健康にいいと人気ですが、白い粉がかなり多く混ざっている薄い色の全粒粉のパンも多く出回っているようです。

全粒粉だけで作ると、生地が重めになりますが、このレシピでは全粒粉と薄力粉を半分ずつにしてあるので、生地が軽めに仕上がります。

今回のレシピの材料は、パン2個分の量なので、半分を胡桃でなくそのままプレーンのパンにしたり、ひまわりの種を入れたりしてもOKです。

リネットさんはこのレシピの胡桃パンをよく作り、サラダとチーズと一緒に出してくれます。

今回使用しているイーストは、Easy Bake Yeast、Quick Action Yeast などとよばれるイーストで、小麦粉に直接混ぜるもので、お湯に溶かして発酵させる必要がなく、発酵も一回きりで十分なので、とても簡単です。

焼きたては最高なのは言うまでもなく、トーストすると、カリっと香ばしく胡桃の香りも一層引き立って、バターと蜂蜜で食べると最高です。

IMG_1891 イージ・ベイク・イースト

材料

(中サイズ12cm×30cm×5cmくらいのパン2つ分)

・全粒粉の強力粉 500g

・普通の強力粉 500g

・オリーブ・オイル(あればウォールナッツ・オイル)大さじ2

・ブラウン・シュガー 小さじ3

・塩 小さじ3

・ドライ・イースト1パック(7g)

・人肌の温度のぬゆま湯(熱湯1/3、冷水2/3)約640ml

・胡桃 125g

IMG_1886 胡桃

作り方

1 大きいボウルに全粒粉、薄力粉、塩、砂糖、イーストを入れ混ぜる。

2 さらにオリーブ・オイルを入れ混ぜ、真ん中にお湯を入れるように

3 人肌のぬるま湯640mlのうち3/4(約430ml)を入れ混ぜてみて、様子を見ながら少しずつたす。

(水分が多すぎるとべたついて、手にくっつきます。手にまとわりつかない程度に水分を調節してください。)

4 平らな表面で、生地を約10分間こねる。

IMG_1915 発酵前  IMG_1930 発酵後

5 生地に砕いた胡桃を入れ、数回こねて、くるみが全体に均一になったら、生地を2つにわけ、長方形に整える。

6 油をトレイの上に薄く塗って、生地の表面に薄力粉を薄くふりかけ、ラップをかけ、常温の場所に約1時間おく。

7 生地が2倍に近づいた頃に、オーブンを200度に温める。

8 生地が2倍になったら、生地をオーブンに入れ約30分焼く。

(表面が焦げないように、様子を見て、必要があれば途中でアルミホイルをかぶせてください。)

IMG_1976 スライス IMG_1989 トースト(バターと蜂蜜)

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IMG_1238 ホット・クロス・バンズ

イギリスのイースター(Easter=復活祭)には欠かせないものと言えば、このホット・クロス・バンズでしょう。

たまごの形をかたどったチョコレート(イースター・エッグ)も多く食べられますが、ホット・クロス・バンズは、チョコレートという嗜好品よりも、パンという食品に分類されるという点で、イースターの主役かなと、個人的には感じています。

(というのも、これといって決まったイースターのご馳走のメニューがイギリスには存在しないからです。)

このホット・クロス・バンズは、とりわけグッド・フラーデー(イエス様が十字架にかけられた日とされる)に食べるのが正統だとされています。

その、まさにクロスが、表面についた、フルーツとスパイスで味付けされた小型のお菓子パンです。

このクロスは単に、魔よけとして、部屋につるして1年の幸運を祈願したりする風習もあるそうです。

また、病人に食べさせると病気が治るとか、ホット・クロス・バンズをのせた船は沈没しない、などとも言われるそうです。

そもそもEasterという名称自体、キリスト教以前の女神 Eostre に由来していて、キリスト教徒に、春のお祭りとして定着したそうです。

IMG_1187 1次発酵前 IMG_1196 1次発酵後

ホット・クロス・バンズはとてもイギリス的なもので、その歴史は少なくとも1500年代の後半からという、とても古いものです。

イースターを祝う国々では、スパイスを混ぜたパンをイースター前後に食べる習慣があるそうなのですが、イギリスにおいてはこのホット・クロス・バンズは、伝統的にはグッドフライデー(イースターサンデーの前のフライデー)に食べるもの、と特定されているのが興味深いところです。

というのも、1500年代の後半~1600年代の前半の時代に、グッド・フライデーとクリスマス以外に、ホット・クロス・バンズを売ることを禁止した、という歴史の名残のようです。

(貧民に贅沢品を与えない、というような狙いからだったそうですが、実際は家々の台所で作り続けられていたそうです。)

ここで紹介しているレシピは、John Tovey という控えめなイギリス人シェフのレシピです。

スパイスと砂糖が、控えめになっていますが、その分ドライ・フルーツの味が引き立ちます。

(スパイスの強い味が好きな方は、スパイスを少しだけ増やしてもけっこうですが、シナモンは、入れすぎるとイースト菌の活動を弱めるそうなので、注意が必要です。)

写真のホット・クロス・バンズは、普通の強力粉で作ってありますが、全粒粉を半分混ぜた方がが体にもいいし、より市販のものと違う味になるはずです。

焼き立てはもちろんのこと、半分にスライスしてバターを塗るのもいいですし、トーストしてバターを塗るのがイギリス人の大好きな食べ方のようです。

そのさい、もう少し甘くして食べたいな、という時は、蜂蜜、マーマレードをぬるのがお勧めです。

ホット・クロス・バンズは、コーヒーではなく、絶対的にティーと相性がいいと思います。

IMG_1198 2次発酵前 IMG_1201 2次発酵後

材料

(約20cm×35cmのトレイ:約直径5cmのバン15個分)

・イースト と牛乳

A B のうちどれか一つ

A :すぐに使えるイージー・ブレンド・イースト7g

B:普通のドライ・イースト7g+砂糖小さじ1

・牛乳 225ml

・強力粉 315g (全粒粉と普通の強力粉を半分ずつ使うのもおすすめです。)

・ナツメグ 小さじ1/2

・シナモン 小さじ1/2

・砂糖 30g

・塩 小さじ1/2

・ミックス・ドライ・フルーツ 75g

・バター 25g

・卵 1個(半分は生地に入れる、半分は、表面に塗る)

<表面のクロス>

・薄力粉 約大さじ2~3

・水 少々

IMG_1204 焼く前 IMG_1221 焼きあがった直後

作り方

1 バターを小なべに入れて溶かして、脇に置いておく。

2 大きめのボウルを2つ用意して、強力粉を約半分ずつに分ける。

3 A のイージー・ブレンド・イーストを使う場合は一つめのボウルにイーストを混ぜ、牛乳を人肌に温めて、混ぜる。

Bのドライ・イーストを使う場合は、牛乳を温め、砂糖をスプン1入れ、イーストを軽く混ぜ、15分くらいおいてから、混ぜる。

4 2つ目のボウルにいれた強力粉に、シナモンパウダー、ナツメグパウダー、ドライ・ミックス・フルーツ、砂糖、塩を入れ混ぜる。

5 2つのボウルを一つにまとめる。

6 平らな表面の上に粉をふり、溶かしたバターと卵半分を混ぜ、生地を約110分間こねる。

(*手にっくっつきすぎる場合は粉を足し、固すぎる場合はぬるま湯を足して調節してください。)

7 丸めて、ボウルに入れ、表面にサランラップをぴったりとかぶせ、生地が2倍に大きくなるまで、発酵させる。:一次発酵。表面のサランラップは押し上げられた空気で、まるく膨らみます。

(*室温が25度前後の場合は約45分~1時間で2倍になりますが、室温が低めの場合は1時間以上置いて様子を見てください。また、温度が高めの場所に生地を置く場合は、温度が高くなり過ぎないように注意してください。)

IMG_1240 半分にスライス IMG_1246 バターを塗る

8 トレイの表面にバターを薄く塗る。

9 平らな表面で、生地を15等分に分け、生地を手のひらと表面でまるめ、トレイに間隔をあけながら置く。

10 固く絞った布を生地全体にかぶせ、そのまま常温で、生地が2倍になるまで置く。:  2次発酵。

(*室温が25度くらいの場合は約30分で2倍になります。この段階での大きさが焼き上がりの大きさになります。)

11 オーブンを220度に温める。

12 小さめのボウルに小麦粉と水少々をいれ、あわたて器、またはスプンで練るようにしっかり混ぜる。

13 ケーキのクリームの絞り器の一番小さいノズルをつけて、生地を入れ、細く出てくるか試す。

14 2倍に膨らんだ生地の表面に、クロスの生地をゆっくりと一度に搾り出す。(上の写真を参照してください。)

15 残りの半分のといた卵を、はけを使って、生地の表面に薄く塗る。(つやだしのためです。)

15 生地をオーブンに入れ、約20分焼いて、全体にはりがでてきた感覚があったら焼き上がり。

(15分後くらいから、表面がこげてきた場合は、アルミホイルをかぶせてください。)

(型のまま約5分冷まし、型から出して金網の上にのせる。)

IMG_1237 ホット・クロス・バンズ IMG_1260 トーストしてバター

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