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Archive for 2015年5月

IMG_9366 コーニッシュ・スプリッツ、クリームと苺ジャム

コーニッシュ(Cornish)とは、イギリス南西部のコーンウォール州(Cornwall)の形容詞形で、スプリッツ(Splits)は、切込みを入れて半分にする、ということです。

コーンウォールは、隣のデボン州(Devon)とともに、クリームで有名な地域で、コーニッシュ・クリームティー とかデボン・クリーム・ティーなどと、アフタヌーン・ティーで特に有名です。

(クリーム・ティーとは、アフタヌーン・ティーの一つの典型で、牛乳を入れたティーに、スコーン、クロテッド・クリーム、ジャムがあることが条件だそうです。)

今回紹介するコーニシュ・スプリッツとは、スコーンに似てるのですが、イーストが入ったパンなので、作り方や、食感は結構違います。

コーンウォールでは、一般的なスコーンよりも、このコーニッシュ・スプリッツのほうが、伝統的にはアフタヌーン・ティーに好まれていたそうですが、時代とともにスコーンの波に押されがちになってきているそうです。

また、デボン州では、同じものをデボン・イースト・スコーンと呼んでいるそうです。

作り方は、丸パンを作るという過程と同じで、パンがまだ少し温かいうちに、半分に切って、クリームとジャムをふんだんにのせて(または挟んで)食べます。

伝統的には、水平にスライスして、まずバターを塗って(←これには驚きました)、その次にジャムを塗り、最後にクロテッドクリームをのせるそうです。

メインの写真は、レトロ感のあるパン屋さんでたまに見かける方法で、パンの切込みを斜めに入れて、クリームとジャムをふんだんに挟んであります。

今回紹介しているレシピは、リネットさんのおばあさんが残した、手書きのレシピ帳からのものです。

作り立てのまだ温かいパンを切って、クリームとジャムをのせて食べた瞬間は、あまりにも幸せで、頭が真っ白になってしましました。

リネットさんは、何も考えずに、ジャムを先にクリームを最後にのせたのが印象的でした。

私は何も考えないと、クリームを先に、ジャムを後でのせてしまうのですが、パンがまだ温かいという事実を考えると、クリームが後の方が絶対美味しいということに気づきました。

クロテッド・クリームが手に入る場合は、もちろん生クリームではなく、クロテッド・クリームで召し上がってください。

IMG_9346 リネットさんの庭で摘んだピオニー(Paeony ):シャクヤク

材料

(12個分)

・牛乳 (人肌の温度)285ml

・バター 30g

・砂糖 20g

・塩 小さじ1/2

・クイック・ドライイースト 1袋(約7g)

・強力粉 450g (全粒粉を使う場合は、全粒粉110g、普通の強力粉340g)

<フィリング>

・生クリーム 200ml

・苺ジャム(またはラズベリージャム) 約大さじ3

IMG_9330 焼きたて IMG_9335 コーニッシュ・スプリッツ

作り方

1 大きめのボウルに、強力粉、クイック・ドライイースト、砂糖、塩を入れて、均一になるように混ぜ、真ん中に穴をあけておく。

2 トレイの表面にサラダ油またはバターを少量塗る。

3 小鍋に牛乳とバター入れて、弱火で人肌の温度に温める。

4 1のボウルの穴の部分に、温めた牛乳をいっきに入れて混ぜ、全体の生地がまとまったら、平らな表面に粉を少々しいて、生地を8~10分こねる。

*生地は水っぽいですが、根気よくこねているうちに、だんだん水気は少なくなってきます。また、数分こねても生地が指にくっついて、どうしようもない場合は、粉を加えて生地を調節してください。

5 生地を12等分して、一つずつ丸めて、均等にトレイに並べ、生地の上に小麦粉を十分にふりかける。

6 スーパーのビニール袋をかぶせ、暖かい部屋に置いて生地を発酵させる。

*1時間半~2時間くらいで生地は約2倍に膨らむのですが、発酵が遅い場合は2時間半~3時間くらい根気よく置いてください。

7 生地が2倍に膨らんできたらオーブンを200度に設定して、10分くらいオーブンを温めた後、生地を約25分~30分焼いて、全体がこんがりして、手で軽く叩いてみて中に空気がある感触がしたら、焼きあがり。

8 5分後にトレイから出し、金網の上にのせる。

<食べる直前に>

9 生クリームを泡立てる。

9 パンがまだ少々温かいうちに、パンを斜めに切り、泡立てたクリームとジャムを挟む。またはパンを水平に切り、クリームとジャムぬる。

IMG_9336 クリームの上にラズベリージャム IMG_9338 ラズベリージャムの上にクリーム

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IMG_8704 ブランデー・フルーツ・ケーキ

フルーツケーキは、イギリスのティータイムに欠かせないケーキの一つです。そのレシピの数は限りなく、このブログでも今までにいくつか紹介してきました。(No.4、No.26、No.40、No.67、No.87 、No.109 に載っています。)

今回投稿するレシピのオリジナルは、私が一番初めにロンドンに住んだ時のフラット・メイトのお母さんの友達アンさんから頂いたものです。

材料の割合が、砂糖、バター、薄力粉、ドライ・フルーツの順で、4オンス:4オンス:8オンス:12オンス+卵2個+液体150ml。180度で40~45分焼く。(4オンス=125g)

この割合さえ守っていれば、ほぼ失敗がないケーキなのです。

(アンさんのオリジナルのレシピは、液体は牛乳で、一晩フルーツと混ぜて漬けずに最後に材料に混ぜ、小麦粉を入れる時に小さじ1のミックス・スパイスが入るというものでした。)

液体は何を使ってもいい、とうのがとても楽しいバリエーションで、今までにラム酒、ウイスキー、ブレックファーストの紅茶、アールグレーの紅茶を使ってフルーツを一晩漬けて作りました。(小さじ1のミックス・スパイスは時には入れて、時には入れないで。)

このいろんなバリエーションの中でも、今回紹介するこのブランデーはとびきりです。

ブランデーはお店で売ってる一番安いものを使いましたが、風味は抜群です。

焼いてから数日後が、ブランデーの香りがまろやかになって、一番おいしいように思います。

ラップやアルミホイルでぴったりと巻いて、密封のいい缶にいれて保存すると、3~4週間持ちます。

(牛乳を使ったバージョンは、2週間くらい持ちます。)

厚めにスライスした一切れは、コーヒー、紅茶はもちろん、ワインなどとも、とても相性が良いです。

IMG_6840 ミックス・ドライ・フルーツ

材料

(約縦10㎝×横20㎝×深さ10㎝の四角いケーキ型、約縦8㎝×横15㎝×深さ8㎝の四角いケーキ型 2個分)

・ライト・ブラウン・シュガー 125g

・バター 125g  (無塩、有塩でもどちらでもOK、常温で柔らかくしたもの)

・セルフ・レイジングの薄力粉 250g

(または普通の薄力粉 250g+ベーキングパウダー 小さじ1強)

・ミックス・ドライ・フルーツ 375g

(またはドレンチェリー65g、オレンジ・ピール60g、ドライ・カラント125g、サルタナ125g)

・卵 2個

・ブランデー 150ml (バリエーションとして、ラム酒、ウイスキー、冷めた紅茶)

IMG_8708 ブランデー・フルーツ・ケーキ

作り方

<前日>

1 中サイズのボウルにドライ・フルーツとブランデーを入れ、常温で一晩漬ける。

<当日>

2 オーブンを180度に温め、ケーキ型の内側をベーキングシートで覆う。

3 大き目のボウルに、常温で柔らかくしておいたバターと砂糖を入れ、泡立て器で良く混ぜる。

4 3に卵を1個ずつ入れ、さらに泡立て器で良く混ぜる。

5 4に1のブランデーに漬けたドライ・フルーツを全部入れ、ゴムべらまたはしゃもじで全体が均一になるように、さっと混ぜる。

6 5の生地をケーキ型に入れ、表面を整える。

7 オーブンで約40~45分間焼いて、真ん中を竹串で刺して生地がついてこなかったら焼き上がり。

8 10~15分後型から出し、金網の上に置いて冷ます。

IMG_8720 ブランデー・フルーツ・ケーキ

 

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IMG_6928 パシカ

今年のイースターは、リネットさんのアイディアで、ロシアの伝統的なお菓子に挑戦してみようということになりました。

今回紹介するパシカとは、キリスト教正教圏のイースターを祝うデザートで、一言でいうと、ドライフルーツとナッツ入りの、濃厚なチーズケーキと言ったところです。

Pashkaという名称は、イースター・サンデーの前日の土曜日にロシア正教の教会で行われるお祝い(Pashkal Vigil)に、このデザートを作って教会に持って行くことに由来しているそうです。

私もリネットさんも、このお菓子を作るのは初めてだったので、(私は聞いたこともありませんでした)成功するまで何回か試行錯誤しました。

というわけで、イースターよりも一か月近く遅れての投稿となってしまいました。

IMG_6678 リネットさんの庭のクロッカス

パシカは、縦に長い形に仕上げるのが伝統だそうで、植木鉢を使うのがよくある方法のようです。(作る過程で、余分な水分が穴から出せて、縦に長い円筒形をしていることで、結果的に植木鉢に落ち着くらしのです。)

パシカには、一般的には生の卵黄が入るらしいのですが、何回か別のレシピで作っているうちに、生の卵を入れないバージョンがおいしく、またちゃんと固まったので、生の卵を入れないレシピを投稿します。

食べ方は、好きなように、小さなブロックに切って食べます。

気になる味の方はと言いますと、一口食べてその美味しさに驚きました。

ドライ・フルーツはリコッタチーズの水分を吸ってジューシーになっていて、アーモンドも口当りよく、全体的にはクリーミーなレモン風味のチーズケーキのようでした。

一度にたくさん食べるものではないそうなのですが、食べだしたらやめられなくなりました。

取り掛かりは、ちょっと億劫なように感じるかもしれませんが、オーブンを使わないで出来るので、作ってみると意外と簡単にできるお菓子だと思います。

IMG_6895 ドライ・フルーツを混ぜる

材料

・リコッタ・チーズ 250g

・生クリーム 100ml

・砂糖 65g

・無塩バター 30g

・すりおろしたレモンの皮 1個分

・アーモンド・フレーク 35g

・ドライ・レーズン 35g

・オレンジ・ピール 35g

・バニラ・エッセンス 小さじ1/3

・ドレンチェリー 1個(飾り用)

IMG_6899 ハンカチを敷く IMG_6901 重りをのせる

作り方

1 中サイズのボウルに無塩バターを入れ、柔らかくなるまで木べらで混ぜる。

2 そこに、砂糖、バニラエッセンス、すりおろしたレモンの皮、リコッタチーズを入れ、良く混ぜる。

3 そこに、オレンジ・ピール、アーモンド・スライス、ドライ・レーズンを入れ、さらに混ぜる。

4 小さめのボウルで、生クリームを泡立て3のボウルにさっくりと混ぜる。

5 直径約7㎝、高さ約12㎝の植木鉢の内側に木綿のハンカチ(出来ればモスリン)を敷き、4のミクスチャーを丁寧に詰め、植木鉢の下には、ガラス鉢などで受け皿を

6 ハンカチで、ミクスチャー全体をぴっちりと覆い、小皿かガラス鉢をのせ、重り(ジャムやマーマレードの瓶、できればもっと重いもの)をのせ、冷蔵庫に一晩おく。

*大量ではありませんが、受け皿に余分な水分がたまります。

7 受け皿を取り外しサービング皿の上で植木鉢を上下逆にし、丁寧に植木鉢とハンカチを取り除き、チェリーを飾る。

IMG_6935 断面

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