コーニッシュ(Cornish)とは、イギリス南西部のコーンウォール州(Cornwall)の形容詞形で、スプリッツ(Splits)は、切込みを入れて半分にする、ということです。
コーンウォールは、隣のデボン州(Devon)とともに、クリームで有名な地域で、コーニッシュ・クリームティー とかデボン・クリーム・ティーなどと、アフタヌーン・ティーで特に有名です。
(クリーム・ティーとは、アフタヌーン・ティーの一つの典型で、牛乳を入れたティーに、スコーン、クロテッド・クリーム、ジャムがあることが条件だそうです。)
今回紹介するコーニシュ・スプリッツとは、スコーンに似てるのですが、イーストが入ったパンなので、作り方や、食感は結構違います。
コーンウォールでは、一般的なスコーンよりも、このコーニッシュ・スプリッツのほうが、伝統的にはアフタヌーン・ティーに好まれていたそうですが、時代とともにスコーンの波に押されがちになってきているそうです。
また、デボン州では、同じものをデボン・イースト・スコーンと呼んでいるそうです。
作り方は、丸パンを作るという過程と同じで、パンがまだ少し温かいうちに、半分に切って、クリームとジャムをふんだんにのせて(または挟んで)食べます。
伝統的には、水平にスライスして、まずバターを塗って(←これには驚きました)、その次にジャムを塗り、最後にクロテッドクリームをのせるそうです。
メインの写真は、レトロ感のあるパン屋さんでたまに見かける方法で、パンの切込みを斜めに入れて、クリームとジャムをふんだんに挟んであります。
今回紹介しているレシピは、リネットさんのおばあさんが残した、手書きのレシピ帳からのものです。
作り立てのまだ温かいパンを切って、クリームとジャムをのせて食べた瞬間は、あまりにも幸せで、頭が真っ白になってしましました。
リネットさんは、何も考えずに、ジャムを先にクリームを最後にのせたのが印象的でした。
私は何も考えないと、クリームを先に、ジャムを後でのせてしまうのですが、パンがまだ温かいという事実を考えると、クリームが後の方が絶対美味しいということに気づきました。
クロテッド・クリームが手に入る場合は、もちろん生クリームではなく、クロテッド・クリームで召し上がってください。
リネットさんの庭で摘んだピオニー(Paeony ):シャクヤク
材料
(12個分)
・牛乳 (人肌の温度)285ml
・バター 30g
・砂糖 20g
・塩 小さじ1/2
・クイック・ドライイースト 1袋(約7g)
・強力粉 450g (全粒粉を使う場合は、全粒粉110g、普通の強力粉340g)
<フィリング>
・生クリーム 200ml
・苺ジャム(またはラズベリージャム) 約大さじ3
作り方
1 大きめのボウルに、強力粉、クイック・ドライイースト、砂糖、塩を入れて、均一になるように混ぜ、真ん中に穴をあけておく。
2 トレイの表面にサラダ油またはバターを少量塗る。
3 小鍋に牛乳とバター入れて、弱火で人肌の温度に温める。
4 1のボウルの穴の部分に、温めた牛乳をいっきに入れて混ぜ、全体の生地がまとまったら、平らな表面に粉を少々しいて、生地を8~10分こねる。
*生地は水っぽいですが、根気よくこねているうちに、だんだん水気は少なくなってきます。また、数分こねても生地が指にくっついて、どうしようもない場合は、粉を加えて生地を調節してください。
5 生地を12等分して、一つずつ丸めて、均等にトレイに並べ、生地の上に小麦粉を十分にふりかける。
6 スーパーのビニール袋をかぶせ、暖かい部屋に置いて生地を発酵させる。
*1時間半~2時間くらいで生地は約2倍に膨らむのですが、発酵が遅い場合は2時間半~3時間くらい根気よく置いてください。
7 生地が2倍に膨らんできたらオーブンを200度に設定して、10分くらいオーブンを温めた後、生地を約25分~30分焼いて、全体がこんがりして、手で軽く叩いてみて中に空気がある感触がしたら、焼きあがり。
8 5分後にトレイから出し、金網の上にのせる。
<食べる直前に>
9 生クリームを泡立てる。
9 パンがまだ少々温かいうちに、パンを斜めに切り、泡立てたクリームとジャムを挟む。またはパンを水平に切り、クリームとジャムぬる。