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Archive for 2015年8月

IMG_0542 ウェルシュ・ケーキ

今回紹介するウェルシュ・ケーキは、私にとってはなじみの薄いウェールズのレシピです。

ウェルシュ・ケーキはウェールズを代表するお菓子で、その存在は、おそらくスコットランドのショートブレッドのようなものだと思います。

ケーキという名はついているももの、実際はパンケーキ、または柔らかいビスケットのようなもので、その一番の特徴は、オーブンは使わずに、グリドルという鉄でできた厚いフライパンで焼く、ということです。

伝統的なウェールズの家庭では、このグリドルで焼きますが、グリドルがなくてもフライパンで焼くことができます。(火が均一に通る厚めのフライパンが理想です。)

歴史的には、19世紀後半頃から、ティータイムのお菓子、ランチボックスのおやつとして大変な人気を博し、現在に至っています。

IMG_0592 リネットさんの庭でつんだダリア(Dahlia)

またウェールズといえば、最近まで炭鉱で有名だったように、ウェルシュ・ケーキは作業着のポケットに入れて簡単に持ち運び出来ることから、炭鉱労働者に愛され続けてきたそうです。

そのことから、Welsh Miner Cakes(ウェールズ炭鉱労働者のケーキ)とも呼ばれたりするそうです。

市販のものはきれいにパッケージされてますが、ウェルシュ・ケーキは見た目の素朴さからいっても、とても家庭的なお菓子という印象を受けます。

ミックス・スパイスがほんのり効いたバター風味の生地は、しっとり感があると同時にさくっとしています。

ついつい2つ、3つ…と手が伸びてしまいます。

作り方は、混ぜて焼くだけというきわめてシンプルなものなので、どんどん作ってみてください。

IMG_0520 道端のブラック・ベリー(Black Berry)

材料

(直径5㎝のクッキー型;約18個分、直径7㎝のクッキー型;約12個分)

・バター 170g

・薄力粉 250g (全粒粉を使用する場合は、薄力粉220g、全粒粉30g)

・ベーキングパウダー 小さじ1/2

・ミックス・スパイス 小さじ1/2

・卵 1個

・ドライ・カレント 85g

・砂糖 (できればブラウンシュガー)85g

IMG_0536 焼く直前

作り方

1 薄力粉にベーキングパウダー、ミックス・スパイスを均一になるように混ぜる。

2 大きめのボウルに1の粉とバターを入れ、指でバターをほぐすようにして、粉になじませる。

3 砂糖を入れさっと混ぜ、ドライ・カレントも入れさっと混ぜる。

4 3に溶いた卵を入れ、生地に均一にさっと混ぜる。*混ぜすぎないほうが生地がサクッと仕上がります。

IMG_0539 焼きたて

5 平らな表面に薄く小麦粉を敷き、一掴みほどの生地を厚さ1~1.3㎝にのし棒で伸ばし、直径5㎝くらいのクッキー型で一つずつくりぬいていく。

6 フライパンを中火で温め、薄くサラダオイルを塗り、くりぬいた生地を両面約3分間ずつ焼く。

*バターの方がいい香りに出来るのですが、焦げやすくなってしまうので、リネットさんはサラダオイルを使いました。

*火加減を調節して、焦げないように注意しながら焼いてください。

7 両面こんがり焼けたら、金網の上に乗せる。

IMG_0598 ウェルシュ・ケーキ

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Banoffee1 バノフィー・パイ

今回は、イギリスのケーキ・お菓子の歴史の中ではかなり新しいバノフィー・パイを紹介します。

このデザートはリネットさんが作らないデザートなので、リネットさんが休暇に行っている間に、私がいろいろレシピを見て試行錯誤してみました。

(リネットさんが作らない理由は、あまりイギリスらしくない、クリームとトフィー・ソースが重すぎる、アメリカ風な味…などなどのようです。)

IMG_9963 リネットさんの庭のDahila Roxy (ダリア)

まず、このデザートが発明されたのが1971年。確かにほとんどのイギリスのケーキ・お菓子・デザートの発祥が19世紀~20世紀前半なのに比べると、とても浅い歴史です。

イギリス南部のサセックス州(Sussex)の、とあるレストラン(Hungry Monk Restaurant)で、イギリス人シェフ2人(Nigel Mackenzie、Ian Dowding)がアメリカン・パイをヒントにして生まれたのがバノフィー・パイの発祥です。

それ以来このレストランでは定番のメニューになり、サッチャー元首相や、ダイアナ妃もこのレストランを訪れてバノフィー・パイを楽しんだそうで、80年代半ばにはバノフィー・パイはスーパーマーケットの店頭にも並ぶほどの大人気だったそうです。

しかし店頭ではアメリカン・パイとして売られ、これをイギリスのデザートとして証明した人には賞金を与えるというちょっとした騒ぎにもなったそうです。

確かに、見た目も味の感じも、アメリカっぽいことは否定できません。しかし、よく考えてみると、イギリス人はトフィー(柔らかいキャラメルのようなもの)が大好きですし、トフィーはイギリスのスイート屋さんでは大御所です。

そしてイギリス人はバナナも大好きです。ランチの時とか、小腹が空いた時にあっちこっちでバナナを食べている人を見かけます。

ということで、このデザートは、まさにイギリス人のためのデザートと言っても過言ではないかと思うくらいです。

IMG_9967 リネットさんの庭のMusk Mallow(ムスク・マロウ)

バノフィー(Banoffee )はバナナ(Banana)とトフィー(Toffee)の合体語で、現在では公式な英語の単語になっています。

コンデンス・ミルクを2~2時間半煮ると、本当にキャラメル色のトフィー・ソースになるのには驚きです。

超甘いトフィー・ソースと甘くない生クリームの合体の美味しさに、レモン風味のバナナとビスケット生地が合わさった味は、信じられない美味しさです。

バノフィー・パイは、レストランメニューで見かけることが度々あるので、現在でも根強い人気はあるようです。

そしてこの美味しさを思うと、イギリスのデザートの歴史から消えることはないと信じます。

作る過程で鍋は必要ですが、オーブンは不要なので、コンデンスミルクを煮るのに時間はかかりますが、思ったよりも失敗は少ないのではないかと思います。

作りたてよりも、作ってから数時間~半日冷蔵庫で冷やした方が美味しく、切り分けも簡単です。

リネットさんにも次回はおすそ分けしてみようかなと思います。

IMG_9999 リネットさんの庭のCampanula punctata(蛍袋)

材料

(直径約23㎝、深さ約6㎝のパイ型)

<ビスケット・ベース>

・ダイジェスティブ・ビスケット 185g

・バター 85g + パイ皿の内側に塗る分少々

<フィリング>

・コンデンス・ミルク 1缶(397g)

・バナナ(ちょうど良く熟れたもの)小さめ4本(大きめ3本)

・レモン汁 1/2個分

・バニラ・エッセンス 小さじ1/2

・生クリーム (ダブル・クリーム)300ml

<トッピング>

・チョコレート(プレーンまたはミルク)25g

IMG_0320 トフィー・ソースになったコンデンス・ミルク

作り方

数時間前に…

1 コンデンス・ミルクのラベルをはがして、鍋にたっぷりお湯を沸かし、コンデンス・ミルクを缶ごと火にかけ、弱火で2~2時間半ゆでる。

*水が途中で減ってきた場合は、途中で水を付けたし、常に缶がたっぷりとお湯につかっている状態にしてください。

2 鍋のお湯を捨てて、水を入れ、コンデンス・ミルクを冷ます。

3 缶が熱くなくなったのを確かめて、蓋を開ける。

<ビスケット・ベース>

4 ビスケットを大き目のビニール袋に入れ、開け口を閉じてから、のし棒で細かく砕く。

*出来るだけ細かくなるまで砕いてください。バターが浸透しやすく、しっかりしたベースができます。

5 中サイズの鍋でバターを溶かして、砕いたビスケットを鍋に入れて、全体が均一になるように混ぜる。

6 パイ皿の内側にバターを薄く塗り、5の砕いたビスケット+バターを敷き、約3-4ミリの厚さになるように指でしっかり押し付ける。

7 6を冷蔵庫で約30分冷やして、ベースを固く安定させる。

IMG_0322 冷蔵庫で冷やして安定させる

<フィリング>

8 バナナの皮をむき、約1㎝の厚さにスライスし、ボウルに入れ、絞ったレモン汁を混ぜる。

9 冷蔵庫からビスケット・ベースを出し、スライスしたバナナを並べる。

IMG_0449 スライスしたバナナを並べる

10 トフィー・ソース(加熱後のコンデンス・ミルク)をバナナの上にかけ、均一にのばす。

*この時点で、トフィー・ソースが冷めていることを確認してください。でないと次の段階での生クリームが溶けてしまいます。

IMG_0452 トフィー・ソースをのばす

11 生クリームをしっかりめに泡立て、トフィー・ソースの上にぬる。

IMG_0454 泡立てた生クリームをぬる

<トッピング>

12 生クリームの表面にチョコレートをすりおろす。

IMG_0456 チョコレートを摩り下ろす

13 冷蔵庫で2~3時間冷やしてから切り分ける。

IMG_0330 (2) バノフィー・パイ

 

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