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Archive for 2012年11月

 メイズ・オブ・オナー

メイズ・オブ・オナー(Maids of honour:honourは名誉、勲章などの意)は、直径4~5cmの小さなタルトに、アーモンド・プードルをふんだんに使ったペーストを入れて焼いたお菓子です。

その歴史はとても古く16世紀のロンドン郊外、リッチモンドのハンプトン宮殿(Royal Hampton Court)にさかのぼります。

イングランド王ヘンリー8世の后のメイド・オブ・オナー(宮廷で后の世話をするポジション)であったアン・ボレイン(Ann Boleyn=後のヘンリー8世の后)が、他のメイド達と作ったのが、このタルトの誕生だとされています。

王は、初めてこのタルトを口にしたとき、そのあまりにもすばらしい味に感動し、アン・ボレインを賞賛してこのタルトの名をメイド・オブ・オナーと名づけたと言われています。

その後、このレシピはあまりのおいしさに鉄の引き出しにしまい込まれ、永い間秘密にされ続けたという説や、メイドは宮殿の地下のキッチンに閉じ込められたまま、ヘンリー8世とその側近達だけのために、このタルトを作り続けさせられたという説もあります。

小さなタルト生地は、薄くサクサクしたフレーキー・ペイストリーという生地で、中のアーモンド・プードルのフィリングは、レモン風味が効いていて、絶妙なコンビネーションです。

ここで紹介しているレシピは、リネットさんが全粒粉とブラウンシュガーでアレンジしたものです。

スーパーや一般のお店に売っていない、イギリスの古くからのお菓子に出会い、歴史を聞いたりするのも楽しいものですね。

 グリーン・フィンチ

材料

(直径4~5cmのタルト約12個分)

<フレーキー・ペーストリー生地>

・全粒粉 125g

・塩 小さじ1/4

・バター(常温で柔らかくしたもの) 95g

・レモン汁 小さじ1

・冷水 大さじ4

<フィリング>

・アーモンド・プードル 125g

・ブラウン・シュガー 65g

・卵 1個

・全粒粉 10g

・レモン汁 小さじ2~4

・粉砂糖 ほんの少々(食べる直前に振り掛ける用)

 オール・セイント教会

作り方

<フレーキー・ペーストリー>

1 全粒粉と塩をボールに入れて混ぜ、常温で柔らかくしたバターを指でこすりながらなじませる。

2 そこに、レモン汁と冷水を入れ、全体がなじむように混ぜ合わせる。

3 生地を固めてラップに包み、冷蔵庫で約1時間ねかせる。

4 オーブンを200度に温め、タルトの型にバターを薄く塗る。

5 冷蔵庫から生地を出し、平らな表面を使って、のし棒で約7mの厚さにのばす。
*なるべく手早くこの動作をすることがサクサクとした生地に作る成功の秘訣です。

6 直径6~7cmくらいの円い型で生地を繰り縫いて、タルト型にのせる。

*残りの生地も手早く丸めてのし棒でのばし、てできるだけ多く型を作ってください。

<フィリング>

7 ボールにアーモンド・プードルと砂糖を入れて混ぜる。

8 そこに卵を入れ、さらに混ぜ、小麦粉も入れて混ぜる。

9 このフィリングをタルトの中に小さじ1杯分くらいのせ、形を整える

10 オーブンで25~30分焼いて、全体にうっすらとこんがりしてきたら焼きあがり。

11 食べる直前に粉砂糖を少々ふりかける。

 焼きたてのメイズ・オブ・オナー

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 全粒粉のジャム・ローリー・ポーリーとカスタード

ジャム・ローリー・ポーリーは、イギリスのプディングの中のプディングとも言えるようです。特に1960~80年代に学校に行った人にとっては、ノスタルジックな給食の思い出がいっぱい詰まっているそうです。

歴史的には、起源は19世紀の初頭で、20世紀に全盛期を迎え、その後学校給食で盛んに出されたそうです。

そのようなノスタルジックなプディングとしては、No45で紹介したブレッド・アンド・バター・プディングと並ぶか、それを上回るくらいだそうです。

現在ジャム・ローリー・ポーリーは、カフェのメニューとしても、スーパーのプディングとしても見かけることはほとんどありません。(可能性としては、パブのデザートにあるかもしれません。)

イギリスのプディングは、伝統的にはSuet(スゥイト)という牛の油を固めたものを使って作るのですが(現代バージョンとしてベジタブル・スゥイトもあります)、このレシピではバターを使っています。

スゥイトは、バターよりも融点が高いため、生地が柔らかく仕上がるそうなのですが、バターを使ったほうがだんぜん風味が良く仕上がります。

また、プディングは伝統な方法としては、なべで2~3時間蒸して作るのですが、ここではオーブンを使っています。

蒸す場合もレシピは同じで、ベーキングシートとアルミホイル(または布)を巻いて、なべに入れて蒸します。

ここで紹介しているレシピでは、全粒粉を使ってあるので、一般のものよりも少し重めになってますが、健康にもいいですし、全粒粉の味が以外にも温かいカスタードと合い、幸せな風味をかもしてくれます。

温かいうちに、召し上がってください。

 生地をのばしてジャムを塗る

材料

・全粒粉 250g(または全粒粉125g、普通の薄力粉125g)

・ベーキングパウダー 小さじ2

・バター 95g

・水 大さじ約8~10

・ジャム 大盛りの大さじ約5~6

<カスタード>

・卵 1個

・牛乳250ml

・砂糖 大さじ1(甘いほうが好みなら2くらい)

・バニラエッセンス 数滴

 ゆるめに巻いて淵をふさぐ

作り方

1 オーブンを200度に温める。

2 大きめのボールに全粒粉、薄力粉、ベーキングパウダーを入れ混ぜ、バターと小麦粉を指で良くなじませる。

3 そこに水を入れて混ぜ、生地が水っぽくならずに、丸められるくらいにする。

4 平らな表面に小麦粉を薄く敷き、生地をのし棒でのばす。約20cm×30cm、厚さ1cmくらいの大きさにする。

5 生地の上にジャムを均一に塗る。(巻くときに大変にならないように、端から2~3cmの部分はジャムを塗らないように気をつけてください。)

6 生地をゆるめにぐるぐると巻き、生地の端は指に水をつけてぴったりとふさぐ。(焼いたときにジャムが出ないようにぴったりとふさいでください。)

7 生地のつなぎ目を下にして、オーブンに入れ200度で15分焼いた後、170度に下げ約30分焼き、竹串をさしてみて、生地がついてこなかったら焼きあがり。

<カスタード>

8 ボールで卵を溶く。

9 なべに牛乳、砂糖、バニラエッセンスを入れ、弱火で人肌くらいの温度に温め、卵のボールに入れ良く混ぜる。(なべはすぐに使うので、そのまま横に置いておいてください。)

10 9を再度なべに入れ、弱火で温め、ゆっくりと木べらで混ぜ、全体にほんの少しとろりとしてきたら出来上がり。

*温かいうちに召し上がってください。

 全粒粉のジャム・ローリー・ポーリー(アップ)

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