メイズ・オブ・オナー(Maids of honour:honourは名誉、勲章などの意)は、直径4~5cmの小さなタルトに、アーモンド・プードルをふんだんに使ったペーストを入れて焼いたお菓子です。
その歴史はとても古く16世紀のロンドン郊外、リッチモンドのハンプトン宮殿(Royal Hampton Court)にさかのぼります。
イングランド王ヘンリー8世の后のメイド・オブ・オナー(宮廷で后の世話をするポジション)であったアン・ボレイン(Ann Boleyn=後のヘンリー8世の后)が、他のメイド達と作ったのが、このタルトの誕生だとされています。
王は、初めてこのタルトを口にしたとき、そのあまりにもすばらしい味に感動し、アン・ボレインを賞賛してこのタルトの名をメイド・オブ・オナーと名づけたと言われています。
その後、このレシピはあまりのおいしさに鉄の引き出しにしまい込まれ、永い間秘密にされ続けたという説や、メイドは宮殿の地下のキッチンに閉じ込められたまま、ヘンリー8世とその側近達だけのために、このタルトを作り続けさせられたという説もあります。
小さなタルト生地は、薄くサクサクしたフレーキー・ペイストリーという生地で、中のアーモンド・プードルのフィリングは、レモン風味が効いていて、絶妙なコンビネーションです。
ここで紹介しているレシピは、リネットさんが全粒粉とブラウンシュガーでアレンジしたものです。
スーパーや一般のお店に売っていない、イギリスの古くからのお菓子に出会い、歴史を聞いたりするのも楽しいものですね。
材料
(直径4~5cmのタルト約12個分)
<フレーキー・ペーストリー生地>
・全粒粉 125g
・塩 小さじ1/4
・バター(常温で柔らかくしたもの) 95g
・レモン汁 小さじ1
・冷水 大さじ4
<フィリング>
・アーモンド・プードル 125g
・ブラウン・シュガー 65g
・卵 1個
・全粒粉 10g
・レモン汁 小さじ2~4
・粉砂糖 ほんの少々(食べる直前に振り掛ける用)
作り方
<フレーキー・ペーストリー>
1 全粒粉と塩をボールに入れて混ぜ、常温で柔らかくしたバターを指でこすりながらなじませる。
2 そこに、レモン汁と冷水を入れ、全体がなじむように混ぜ合わせる。
3 生地を固めてラップに包み、冷蔵庫で約1時間ねかせる。
4 オーブンを200度に温め、タルトの型にバターを薄く塗る。
5 冷蔵庫から生地を出し、平らな表面を使って、のし棒で約7mの厚さにのばす。
*なるべく手早くこの動作をすることがサクサクとした生地に作る成功の秘訣です。
6 直径6~7cmくらいの円い型で生地を繰り縫いて、タルト型にのせる。
*残りの生地も手早く丸めてのし棒でのばし、てできるだけ多く型を作ってください。
<フィリング>
7 ボールにアーモンド・プードルと砂糖を入れて混ぜる。
8 そこに卵を入れ、さらに混ぜ、小麦粉も入れて混ぜる。
9 このフィリングをタルトの中に小さじ1杯分くらいのせ、形を整える
10 オーブンで25~30分焼いて、全体にうっすらとこんがりしてきたら焼きあがり。
11 食べる直前に粉砂糖を少々ふりかける。