Feeds:
投稿
コメント

Archive for 2011年12月

ミンツ・パイはショートクラスト・ペイストリーの中にミンツ・ミートと呼ばれる、スパイスの入った甘いジャムのようなドライ・フルーツを入れて焼いたもので、イギリスのクリスマスには欠かせない伝統的な季節のお菓子です。クリスマスが近づくと、市販のものお店にたくさん並びますし、ミンツパイとスパイスのきいた温かいワイン(Mulled Wine)でもてなすイベントが催されたりしてクリスマスの雰囲気が盛り上がります。

イギリスにおけるミンツ・パイの歴史はとても古く、13世紀に遠征した十字軍が中東から持ち帰った、スパイスとドライ・フルーツが入ったお肉のレシピが起源だとされています。昔のミンツ・パイは、今のものよりはかなり大きく、形も長方形だったことから、棺(Coffin)などとも呼ばれたそうです。それが歴史とともにその形や大きさも変化し、16世紀のチューダー朝の頃からはクリスマスに食べられるようになり、現在の甘くて小さめなミンツ・パイになったのはビクトリア朝(19世紀後半~20世紀初頭)以降だそうです。

ここで紹介しているレシピは、リネットさん本人のオリジナル・レシピです。家族に伝わるレシピを毎年少しずつ工夫していった結果、このレシピになったそうです。全粒粉で作ったペイストリー生地がサクサクと歯ごたえがよく、中のミンツ・ミートは市販のものに比べると甘さが少なく、チェリーが丸ごと入っています。チェリーにあたると、ラッキー!です。

ミンツ・パイに関わる迷信はいくつかあって、12夜(Twelve nights:クリスマスの日から12日間)に毎日1つずつ、別々の家のミンツ・パイを食べると幸運な新年が来る、勧められたミンツ・パイを断ると不幸が来る、ミンツ・ミートを作るとき反時計まわりに混ぜると不幸な一年になる、またミンツ・パイをナイフで切って食べると大不幸・・・らしいです。

いずれにせよ、クリスマスの到来を楽しむ最高のお菓子です。Mulled Wine以外にも、ポート・ワイン( Port)やシェリー酒 (Sherry)と一緒に頂くのも最高ですし、リネットさんはこれらと共に各種チーズやフルーツも一緒にもてなしてくれます。

材料

<ミンツ・ミート> (ドライ・フルーツのミックス)

・レーズン 225g

・サルタナ・レーズン 225g

・ドライ・カレント 225g

・ライト・ベジタリアン・スエット(Light Vegetarian Suet)

・砂糖(できればデメララ・シュガーDemerara Sugar : ざらめのような砂糖)

・胡桃(砕いたもの) 125~225g(好みに応じて)

・料理用りんご(酸味のあるもの) 450g

・摩り下ろしたレモンの皮と果汁 1~2個分(表面をきれいに洗ったもの)

・摩り下ろしたオレンジの皮と果汁 1個分 (表面をきれいに洗ったもの)

・ドレン・チェリー 200g

・シナモン 小さじ山盛り1

・ナツメグ 小さじ山盛り1

・ミックス・スパイス 小さじ山盛り1

・ジンジャー・パウダー 小さじ山盛り1

・クローブ・パウダー 小さじ山盛り1

・ブランデー(またはラム酒) 120ml~150ml

大きいボールにすべての材料を入れて良く混ぜて、密封性の良い瓶に入れる。使うときまで数週間そのまま冷暗所に置く。

<ペイストリー生地>

・セルフ・レイジングの全粒粉 225g

(または普通の全粒粉 225g+ベーキングパウダー 小さじ3+塩 小さじ1)

・バター (冷蔵庫にいれて冷やしたもの)125g

・冷水 大さじ3~4

・牛乳 少量(ペイストリー生地のつなぎ目のため)

作り方

1 ボールに全粒粉とさいの目に切ったバターを入れ、指先でバターをさっと細かくする。

2 そこに冷水を加え、食用ナイフで生地をきるようにさっと混ぜ、丸くまとめる。(手早く作業するのが、べたつかないコツです。)

3 調理台の上に粉を少量かけ、のし棒にも粉をまぶし、半分の量の生地を2mmくらいの厚さに伸ばす。(これもなるべく手早く作業するのが成功の秘訣です。)

4 パイの大きさと(直径5~6cmくらい)同じくらいのコップで、円く型を抜いていく。(あまり強く押さえつけないように。)

5 切り取った生地をパイ型の1つ1つにあわせてのせ、整えてから、ミンツ・ミートを小さじ山盛り1~2杯すつ生地の上に載せる。

6 ペイストリーの淵に牛乳を少量つけて、同じ形の円く型を抜いたペイストリーで蓋をして、淵をきちんと閉じていく。(型を抜いた後のペイストリー生地は、再度丸めて薄くのばして使ってください。)

7 ナイフで表面に小さな穴を開ける。(蒸気が抜ける穴です。ミンツ・ミートが熱くなって吹きこぼれるのを防ぎます。)

8 刷毛を使って表面に牛乳を薄く塗り、お砂糖(できればデメララ・シュガー : ざらめのような砂糖)をふりかける。

9 このまま冷蔵庫で30分以上冷やす。(焼く前に生地が冷えていることが成功の秘訣です。)

10 オーブンを200度に温め、オーブンで20分程度焼く。(茶色くなりすぎないように気をつけてください。)

*焼きたてが一番おいしいので、温かいうちに召し上がってください。また一度焼いたものは、オーブンで再加熱して食べることをお勧めします。

Read Full Post »

イギリスのクリスマス・プディングは、見た目も味も大変ユニークで、たくさんの干した果物、スパイス、などをまぜて長時間蒸したものです。

その起源は、お肉と干した果物で作った秋の収穫祭のご馳走で、中世にまでさかのぼりますが、それ以降少しずつ変化して、今の形のクリスマス・プディングになったのは、19世紀後半から20世紀前半にかけてのビクトリア朝時代だそうです。19世紀以前は、布で丸めて茹でていたため球状に近い形をしていましたが、ビクトリア朝以降はプディング・ベイシン(Pudding Basin)型が一般に出回り、なべの中に置けることから蒸すようになりました。

クリスマス・プディングはプラム・プディング(Plum Pudding)と呼ばれたりもしますが、これはかつてプルーンを入れたことに由来するそうです。しかし実際にはプラムを入れないのが普通です。現在では市販のものもいろいろ出ており、25日のクリスマス当日のディナーの後このプディングを食べるのが伝統です。

銀のコインを中に入れて作り、新年の豊富を祝ったり、キリストと12人の使徒をあわせた数の13種類の材料を使うなどの風習もあります。また十字架にくくられたキリストの茨の冠を柊(ひいらぎ)になぞらえて飾りつけされることもよくあります。

ここで紹介しているレシピはリネットさんの曾祖母にあたるミセス・ジョー・ハサールさんからリネットさんの家庭に代々伝授されているものです。このレシピの特徴は小麦粉の代わりに摩りおろしたパンを使うことです。こうすることにより、ゴムっぽくならずにわりと軽く仕上がります。

伝統的にはStir up Sunday(まぜる日曜日)というアドベントが始まる前の最後の日曜日(11月の中旬~下旬)に作ることが多いらしいのですが、冷暗所に置いておくと1年くらいも持つそうです。ブランデー・バター、クリームやカスタードクリームと一緒に食べるのが一般で、逆に何も無しで食べることはほとんどありません。

年に1度のクリスマス・プディングなので、思いっきりお腹いっぱい食べるのがいいと思います。クリスマス・プディングが苦手という人も結構いるのですが、この手作りのを食べると、なるほど~お店のとは違う・・・と納得できると思います。私自身もその1人です。特にブランデーバターと甘くしないクリームと、または、ブランデー・クリームと共に食べるのが最高だと思います。

材料

<プディング>(450ml用のプディング型×4個分)

・干しぶどう 450g

・ドライ・カレント 450g

・ダーク・ソフト・ブラウン・シュガー 225g

・ベジタブル・スエット(Vegetable Suet)125g

*Suetは元来は動物性の油ですが、最近はベジタリアン用のものを使うのが一般的になっています。融点が高いのが特徴で、このためにプディングが重くなりません。

・パン(おろし器で摩り下ろしたもの)340g

・アーモンド(薄くスライスしたもの)60g

・胡桃 (砕いたもの)60g

・卵 小・中なら4個、大なら3個

・ナツメグパウダー 大さじ1

・ブランデー 100~120ml

・ミックス・ピール(使っても使わなくてもOK・・・リネットさんは無しのほうが好きだそうです。)

<ブランデー・バター>

・無塩バター(常温で柔らかくしたもの) 100g

・砂糖 75g

・粉砂糖 大さじ1

・ブランデー(またはラム酒)大さじ4~6

または、<ブランデー・クリーム>

・ダブル・クリーム(またはホイップ・クリーム) 300ml

・粉砂糖 大さじ2~3

・ブランデー(またはラム酒)大さじ4~6

作り方

1 大きいボールにすべての材料を入れて、混ぜる。(混ぜる人は、混ぜながら幸運の願いをこめられます。)

2 プディング型の内側に少量のバターを塗る。

3 生地を型に入れる。(上から2cmくらいのところまで入れる。 : 蒸すための、少しの隙間です。)

4 型を量り、紙に書いておく。(特に型の大きさが違う場合は重要です。: 蒸し時間が大きさによって違ってきます。)

5 2重にしたベーキングシートを型の上にぴっちりとかぶせ、さらにアルミホイルをその上からかぶせる。紐できっちりと型の淵の周りを縛り、直径のハンドル部分も紐をつける。(なべから取り出すときにハンドルがあったほうが便利です。ないととても苦労します。)

6 金属製のスタンドまたは小皿をなべの底において、水を入れ沸騰させ、弱火にする。

7 プディング型が3/4くらいつかるように、プディング型を熱湯の中に気をつけながら入れ、なべの蓋をして、このまま弱火で4~5時間蒸す。(実際にはプディング型がお湯につかっているので、茹でるともいえます。途中でお湯が減ってきたら付け足してください。)

8 プディング型をお湯から出して冷まし、冷暗所に置く。5~6週間熟成させる。

—食べる1時間前に—

9 プディングを蒸したのと同じ手順で、蒸し返す。(450mlのプディング型なら、約50~1時間です。

*ブランデー・バター、またはブランデークリームを作る場合はここでつくるといいです。

<ブランデー・バター>

常温で柔らかくしたバターに砂糖を入れ全体が白くなるまで練り合わせ、ブランデーを最後に混ぜる。

<ブランデー・クリーム>

クリームをほんの軽くあわ立て、粉砂糖とブランデーを入れてさっと混ぜる。(固くなりすぎないように。)

10 紐、アルミホイル、ベーキングシートを取り外し、バターナイフなどでプディングと型の隙間をつくり、プディングを逆さにして型から出しお皿に出す。

11 大さじ2~3のブランデーかラム酒を小なべで温め、プディングにゆっくりとかけていく。

12 部屋の電気を消して、火をつけたマッチをプディングに近づけると、青い炎がプディングからゆらゆらと燃え立ちます。

13 小皿にわけそれぞれの好みで食べてください。(ブランデー・バター、ブランデー・クリーム、クリーム、温かいカスタードクリーム、バニラ・アイスクリームなどです。)

Read Full Post »

クリスマス・ケーキ

 

イギリスのクリスマスケーキは、ドライフルーツ、スパイスやお酒のたっぷり入った、フルーツケーキを、マジパンで覆った上にアイシングでデコレーションしたものです。お酒に漬かったフルーツケーキがマジパンとアイシングで密封されているので、日が経つにつれ成熟し、とても日持ちがいいのも特徴です。

クリスマスケーキの歴史はとても古く、その起源は16世紀以前にもさかのぼることができ、その原型はプラムを入れたオートミールのようなものだったという記録もあるそうです。それが少しずつ変化し、現在の形になったのは19世紀後半~20世紀前半のビクトリア朝の頃だそうです。

クリスマスケーキはクリスマス・プディング同様、現在もほとんどの家庭で食べられていますし、市販のものもクリスマス前にはたくさん出回っています。それだけに、レシピのバリエーションも数限りなく存在します。

ここで紹介しているレシピは、リネットさんがお母さんのマージョリー(Marjorie)さんから受け継いだものです。マージョリーさんは、あるクリスマスに、オーブンのスイッチを切り忘れて寝てしまったところが、いつもの年よりもおいしいケーキが出来たそうです。それ以来リネットさんもクリスマスケーキは弱火で長時間焼いているそうです。この方法だと、ドライになりがちなケーキもしっとりとまろやかに焼き上がります。

ブランデーがたっぷり入ったフルーツケーキの味は格別ですし、飾りつけは、そのときの気分や、手に入る飾りによっていろいろと変化を出して楽しむことができます。(写真のサンタさんとプレゼントは残念ながら食べられません!)

リネットさんは毎年10月末にケーキを焼いて、十分熟成させ、クリスマス間近になったらデコレーションをするそうです。とてもリッチなケーキなので、小さめのスライスでとても満足できます。

IMGP3621

 

材料

<フルーツ・ケーキ>

・レーズン 450g

・カレント 450g

・アーモンド(ナイフで削いだもの)65g

・ドレンチェリー 200g

・セルフレイジングの全粒粉 225g

(または普通の全粒粉+ベーキングパウダー 小さじ3+塩小さじ1)

・バター(常温でやわらかくしたもの) 170g

・卵 4個

・ソフト・ブラウン・シュガー(できれば色の濃いもの) 225g

・ブラック・トリークル(黒蜜でOK) 大さじ1

・オレンジの皮 (おろし器で削いだもの)1個分

・レモンの皮(おろし器で削いだもの)1個分

・ミックス・スパイス 小さじ1/4

・シナモン・パウダー 小さじ1/4

・ナツメグ・パウダー 小さじ1/4

・ジンジャー・パウダー 小さじ1/4

・バニラ・エッセンス 数滴

・ブランデー 大さじ2

<デコレーション>

・ジャム 大さじ1

・ブランデー 150ml

・マジパン 400~450g

・粉砂糖 225g

・レモン汁 1個分

・飾り(サンタクロース、シルバー・ボール、ドレンチェリー、アンジェリカなど)

パブのカウンター

作り方

<フルーツ・ケーキ—クリスマスの6週間くらい前に>

1 直径23cm深さ8cmくらいのケーキ型(または小さめのケーキ型2つ)の内側をベーキングシートで覆い、数枚の新聞紙をケーキ型の外側に巻きつけ、紐で縛る。

 

2 オーブンを130度に温める。

3 大きいボールにバターと砂糖をいれ、よく練り合わせる。

4 そこにトレイクル、オレンジの皮、レモンの皮、バニラエッセンス、スパイスを入れさらによく混ぜ合わせる。

5 そこに卵を1個ずつ入れ、混ぜ合わせる。

6 そこにドライフルーツ、胡桃、全粒粉の順で入れ、混ぜ合わせる。

7 さらに大さじ2のブランデーを入れ混ぜ合わせる。

8 生地を型に入れ、表面を平らに整えて130度のオーブンで約4時間焼いて、ケーキと型の間に隙間ができてきて、真ん中を竹串で刺してみて生地がついてこなかったら焼きあがり。

9 型のまま金網の上にのせ、冷ます。

10 完全にケーキが冷めたのを確認してから、ケーキをお皿の上に逆さまにして出す。

11 逆さまにしたケーキの表面を、竹串がフォークで丁寧に突き刺し、小さな穴を開ける。(この際竹串にくっついてきたドライフルーツは丁寧にケーキ側に戻します。)

12 ブランデー150mlをスプンで、丁寧にケーキの表面にかけていきます。(開けた穴にしみこむようにかけてください。)

13 ケーキを密封のいい容器に入れて約6週間、冷暗所に置き熟成させる。

*クリスマスの数週間前にケーキを作る場合は、ブランデーの替わりにシェリーを使うと、約2週間で熟成されます。

 

<デコレーション—クリスマス直前に>

14 ケーキを容器から出して、平らな方を上にしてお皿にのせ、ジャムを表面に塗る。

15 マジパンを丸めて、粉砂糖を少し振りかけ(くっつくのを防止するための粉砂糖です。)、のし棒で約4mmくらいの厚さに伸ばす。(できるだけすばやく作業をするのがコツです。でないとマジパンがくっつきやすくなってしまいます。)

16 マジパンを上から垂らすようにかけ、側面にもしっかりと付いたことを確認して、余分な部分は切り取る。

17 このままの状態で丸一日おく。

18 大きめのなべに半分くらいの水を入れ、沸騰させる。(ナイフをきれいにするためのお湯です。)

19 粉砂糖とレモン汁を良く混ぜ合わせる。(固くて混ぜにくい場合は小さじ1杯のお湯を混ぜてください。)

20 アイシングをマジパンで覆ったケーキの上にゆっくりとかけていく。沸騰したお湯にナイフをその都度つけながら、ナイフを使って表面を平らにしていく。

21 サンタクロースの置物、シルバー・ボール、チェリー、アンジェリカなどの飾りを使って最後のデコレーションをする。

Read Full Post »